ジャンク

夕霞堂隱士元夏迪

「貴重な連絡です」。ジャンクメイルの件名を見て、思はず噴き出す。やはり機械飜譯が多いのだらう。これに限らず、何かずれてゐる、どこかをかしいといふものが目立つ。ジャンクメイルはどこまでもジャンクだ。

「ジャンクだ」では濟まないものもある。

便器の蓋を閉めませう、二酸化炭素の放出量も三割減らせる──一高圖書舘の大便室の中には、そんな貼り紙がある。鳩山イニシャチブの直後には、この手の貼り紙が至る所に溢れたけれども、今ではなかなか御目にかゝらない。流石は教養の府、しかもその中樞にある施設の、そのまた内省の空間だ(セニョールの空間では「洗淨裝置の湯温は控へめに」といふ、地主の巣窟に相應しい貼り紙が主流となる)。

蓋がない。

便座はあるのだ。便座の盜難を恐れて、便座を置かない事例を見たことはあるけれども、こゝには便座はある。蓋だけがない。それでも「便器の蓋は閉めませう」。鳩山イニシャチブに對するレジスタンスだろうか。

「近鄰の住民の方に迷惑です。前向き駐車にご協力下さい」といふ標識を塞ぐやうに駐まつてゐるのは、セブンイレブンの配送トラックである。場所はセブンイレブン某店駐車場だ。

後ろ向きに駐車してゐる。

前向き駐車だと、荷下ろしの最中、荷台の中身が丸見えになる。盜難を恐れてのことかも知れない。それは判る。しかし、よりにもよつてその場所に駐めることはないような氣もするのだが。

平成二十五年十二月二十八日土曜一筆箋
同日修訂上網
caelius@csc.jp

夕霞堂文集/夕霞堂寫眞帖
inserted by FC2 system