過日北京から來朝した友人は泰西出身である。東京で何をしたいかと訊けば、檢閲を受けてゐない書籍を讀みたいから、洋書屋を覗くと答へた。
過日知人に會ふ。大學教養課程第二外國語漢語の教室でも教鞭を執つてゐる。十年ぶりだらうか。一目で互ひを認め、ほんの數分だが懷舊談に花が咲く。支那學方面で知り合つた仁である。
昨今は第二外國語に漢語を選擇する者も増えたさうですねと水を向ける。増えたも増えた、今ぢや選擇數で云へばドイツ語に次いで第二位だよ、との由。それだけ裾野が廣がれば、上位の學力もさぞかしなどと、マイナー時代を知る身としては慶賀を口に仕掛ける。は、どうですかね、といふ意外な答へ。
さういへば、北京から遊びに來てゐた友人が、檢閲を受けてゐない本屋に行きたがつてゐましたと話柄を轉じる。さうでせうね、と知人はさらに嗤つた。