一筆箋舊帙    一筆箋/御歸り/御問合

平成十九年十二月二日第二千九百四十一号
平成二十年正月十九日第二千九百七十号

狂躁の渦中で 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月19日(土)23時42分17秒

地元検定(「ご当地検定」と呼ばれている)なるものが全国で百五
十もあるというから驚く。中には地域の浮沈を観光にかけて、この
検定ブームに乗るところもあるらしい。危ない。

過日、世界遺産に認定された紀州の神社の前。地元の人と世間話。
土地の物産を販売する店である。店番は住民の輪番だ。世界遺産に
なってから、下手をすると一日に観光バスが数十台も来ることがあ
るそうだ。そんなに来られても、これで食っている訳じゃなし、元々
売るものの量なんて高が知れている、大体、狭い山道がバスで大渋
滞で、車輌交替もままならず、普通の参拝客が来にくくなって困っ
ていると言う。

「世界遺産のせいだろうけど、二、三年もすれば、また元の静かな
郷に戻りますよ。それまでは我慢、我慢」。

正常な感覚に安堵する。観光で十分に食っていける人口規模(過疎)
でありながら、地元の平凡な農業を大切にしたいと願う人々である。


古典学者と校勘 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月16日(水)15時26分26秒

一口に校勘emendationと言っても、傾きは色々である。解釈学的に
本文の字句を定めていく方法もあれば、措辞結構の姿に全神経を集
中する修辞学的な手法もある。文法の正否を基準に立てるのは勿論
であるが、その運用をどこまで厳格に行うのか、その匙加減に学力
が滲み出るのも、校勘の面白いところであり、恐ろしいところでも
ある。

希臘古典に限って昨今の傾向を読むに、内容を重視して、正則文法
に統一する、解釈学的校勘が目立つ。他の資料で判明している情報
と極力一致するように内容を定め、その内容を正しい文法で表現し
ているように文言を定めていくのである。判りやすい本文を出して
くれるので、初学者には有難い傾向であろう。

文献学、古典学の将来を思えば、少々気になる動きでもある。いか
な古典とは言え、今日我々が修得する文法で隅から隅まで埋めつく
されていた訳ではない。近代語文法とは違い、古代語文法は文法の
規範を提示するばかりではなく、語法の実態を描写する性格が強い
ものの、その記述文法とても、通常教室で用いられている程度の書
物においては、一部の作家やジャンルに重心を置いて語法を蒐集し、
描写している。これに漏れる作家やジャンルの語法はいくらでもあ
る。また、語形や変化、統辞、修辞については、一応の説明がして
あっても、文章を構える技法については全くの手薄である。古代語
にあって、文章作法が如何に重要であるかは、今更言うまでもない。
こうした欠陥を孕んだ文法に則って字句を定めるのである。恐るべ
きことである。

本来、文献学に携わる者は、正則文法に通暁するのはもちろんのこ
と、これから逸脱する現象を知悉しているものである。そのような
現象が生じる事実や箇所を知るばかりではなく、なぜ生じるのか、
それが生じておかしくないのはなぜかという問題を、筆者や話者の
心の襞に分け入って把握している者である。換言すれば、脳中に古
典語の回路を構築した者である。「無断で立ち入りを禁ず」という
貼り紙を見たら、苦笑いして「でもまあ、仕方ないかな」と想う感
性を、古代語で作り上げた者のことである。

そうした古典学者は姿を消しつつある。剣橋で感じ、昨今の校勘者
の顔ぶれを見て、その意を強くしつつある。偉大な古典学者は、校
勘表にめぼしい異読や校定案を書き連ねつつ、底本の写本の読みを
そのまま本文に採用したりする。校勘表に自分の名前は出て来ない
が、本文を定めた時の微笑は、本文の向こうに透けて見えるようだ。
校勘表に登場する場合にも、ラテン語の動詞を直説法の現在完了時
制、一人称単数(場合によっては複数)に置くばかりである。僅か
一単語だ。その一単語を書き記す悦びも、ひしひしと伝わってくる。
同時に、歴代校勘者と歴代読者、そして未来に対して挑戦する、尋
常一様ならざる気迫を感じるのだ。


腕時計の電池 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月16日(水)01時13分8秒

午前十一時四十六分四十七秒で秒針が痙攣を起こしているのに気づ
いたのは、バスに乗った時刻を確かめようと袖を捲った時のことで
あった。

廃業した本郷金星堂の翁に、戦前から見続けてきた大学の人情や、
翁自身の閲歴を聴きながら電池を替えて貰ったのも、つい先頃のよ
うな気がする。支那事変の時にはね、と言いながら、撫で付けた白
髪の翁は確かな手つきで腕時計の裏ぶたを開けた。セイコーの時計
はいいよね、僕のもセイコーですよと、昔語りに時計の蘊蓄が交じ
る。

何となく気に懸かったまま一日を暮らして出先から自宅最寄り駅ま
で戻り、駅の上の雑居ビルに間借りする時計屋に立ち寄る。電池の
交換は十分で終わった。古い電池を受領し、その裏に特殊な筆法で
書き入れた、金星堂主人の交換日を見る。腕時計の電池はどれくら
い保つかと店員に訊くと、一年半位ですかね、それよりも早いよう
だと、時計の機構に故障が生じていると見るべきでしょうが、と言
う。

寿命という言葉が生々しく耳朶を打ったが、古い電池はその寿命よ
りも半年以上長く持ちこたえ、天寿を全うしていたことを知る。胸
の痞えが下りた。


さる啓蒙書を読んで 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月15日(火)22時17分31秒

人がいいと史家には向かない筈なのに、史家に人のよい方が多いの
は、史学の現状の故にか、史学の本質の所為か。


文献学導論 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月14日(月)01時06分39秒

哲学に偏ってはいるものの、よく書けている。内山勝利氏の


駄作駄句 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月13日(日)18時31分56秒

   次紀見峠[きみたうげニやどる]
常日頃外[そと]に見遣る景物を内に見る哉紀見峠にて
なだらかな丘の麓の南海線[なんかいせん]霞棚引き床しくも見ゆ
紀伊國[きのくに]の寛[くつろ]かなる山脈[やまなみ]に烟る
小雨の古色蒼然
茅葺の苔に沁み込む氷雨哉

弦[つる]を執る師等は儚くなり給ふ檀[まゆみ]を見るも告げむ
方なし                        鶯 里


面会希望者は 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月13日(日)01時59分22秒

誰でもよいから会わせてやろうと言われたら、誰と面会するのを希
望するか、という秀逸な問いを愚妻が立てた。

不佞曰く「空海」。
愚妻曰く「縄文人」。

各位は如何。


錦玉羹の宵 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月12日(土)19時38分37秒

昨金曜、上郷途中に御茶ノ水の橋に佇み、秋葉原方面を望む。暮れ
残った川明かり、澄んでいく宵の空気、瞬くネオン、右手下の方で
往来する中央線総武線を見るたびに、この大溝壑の宵の口は何かに
似ていると思っていた。錦玉羹だった。


紀要閲覧 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月10日(木)12時46分8秒

大学紀要所掲論文というのは、入手が面倒臭いものの代名詞である
(のは、不佞だけであろうか)。読んだ結果絶叫することが多いも
のの代名詞でもある(のは、不佞だけであろうか)。しかし、紙幅
の関係上、学会誌には馴染みにくい雄編が埋もれている宝の山であ
るのもまた、周知の事実である。昨今の電子化の恩恵は、紀要論文
にまで及んでいる。国立情報学研究所では、各学術機関が構築する
「御蔵」を綜覧して、一般の閲覧に供している。使わない手はない。
不佞はこれで未知の論文を数本手に入れ、既に一度絶叫した。


口入れ屋 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月10日(木)01時34分59秒

飲食店アルバイトにもそろそろ見切りを付けた所で、口入れ屋を紹
介され、御蔭様でオシャレな大手企業でデータ入力の単純作業を強
いられる派遣社員になりました、という内容の怖い広告を、このと
ころよく目にする。御叮嚀なことに、

 以前:飲食店アルバイト
 いま:大手情報系企業でデータ入力業務

と、極めてアンバランスな内容の要旨まで付けてある。今の職の方
があらゆる意味でやり甲斐もあるだろうと言わんばかりである。そ
れならそれでよいが、せめて就労形態ぐらいは書いて置くべきなの
ではないか。「派遣社員」と書くのを憚る程度には、求職者の目を
気にしているということか。書かねば引っ掛かる奴もいるだろうと
いう魂胆が気にくわないし、引っ掛かる手合いがいるのも残念であ
る。


トカトントン 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月 7日(月)21時39分30秒

今日は疲労困憊で千葉を後にする。そんな時に限って、久里浜行きの向かいに停まっている内房線に乗ってみたい蛮勇に駆られるのは何故だろう。実はまだ二階にいるのです、と云う言葉が脳裏をかすめる。


詠進 投稿者:元夏迪  投稿日: 1月 6日(日)18時42分34秒

ぬばたまのまくろきやみにともしびのゆるるをみればなつの香(か)
ぞする


SUPER KYODAI 投稿者:元夏迪  投稿日:12月30日(日)17時25分58秒

昼仕度は牧志市場二階かつ亭豊年で沖縄蕎麦だった。粗末な座敷の壁には、何者とも知れぬ厚化粧家、スーパー兄弟のポスターが二枚(各々別の写真でただ彼等の名号だけがそえられてある)。


年末年始管理方針 投稿者:夕霞堂隱士  投稿日:12月29日(土)04時22分44秒

年末年始、管理人は完全にオフラインとなります。書き込みに際し
て、匿名性の高いプロキシを経由する者を弾くよう設定してありま
すので、悪しからず御了承下さい。閲覧者各位におかれては、よい
歳を御迎えになりますように。


世界観 投稿者:元夏迪  投稿日:12月27日(木)11時52分32秒

「無印社会主義共和国連邦」と、無印良品の店舗内に入って五分過
ぎると独りごちる不佞は、やはり戦後のアメリカン・デモクラシー
に染まっているのだろうか。


各地の噂、評判 投稿者:元夏迪  投稿日:12月27日(木)01時00分26秒

有名な網站かも知れませんが、チャクウィキに鏈接。玉石混淆なが
ら、現地ならではの噂や口コミがだらしなく一覧され、時々参考に
なります。書いてある内容は勿論、住人が何を書くのかという点も、
大変に面白い。


耶誕節 投稿者:元夏迪  投稿日:12月25日(火)20時08分19秒

耶誕節に当たり、耶蘇教徒の方々に御祝いを申します。


歳暮車中 投稿者:元夏迪  投稿日:12月25日(火)01時49分0秒

二十三日日曜の宵の口、西下する中央線内。車輌連結部の扉を開け
るや、虚空で九字を切り、口中に秘呪(?)を唱えて網棚の新聞を
根刮ぎ攫う青年に遭遇。瞬く間に次の車輌に移り、扉の向こうで九
字を切っていた。


そもそも論として 投稿者:元夏迪  投稿日:12月21日(金)10時17分55秒

とは何かと思えば、抑も「論として」云々なのではなく、「抑も論」
として御話を進めるらしい。「ウインウインの関係」「であるとか」
「○○してあげる」こと「であるとか」、ビジネスの世界を淵源と
する流行語に気持ちの悪いものが多いのは、已むを得ないことなの
であろうか。使えば使うほど巧みな「語り口」とされるのも考えも
のである。


矢追氏のコメント(ZAKZAK) 投稿者:元夏迪  投稿日:12月20日(木)01時54分23秒

以下、矢追氏のコメントを収録したZAKZAKの記事をコピーします。
著作権者はZAKZAKです。

日本の無関心が人類滅亡呼ぶ…あの矢追純一氏が警鐘
日本政府の「UFO無視」に危機感

政府が初めて公式に否定したUFO(未確認飛行物体)論争は、その後、町村信孝官房長官が「絶対にいる」と私見を述べて“内閣不一致”にまで発展した。だが、未知現象研究家の矢追純一氏(72)をはじめとする専門家はおおむね冷静だ。国に調査の専門機関がなければ確認しようがない-とのことだが、日本の無関心が人類滅亡という最悪の事態を招きかねないと警鐘を鳴らしている。

矢追氏は、「政府にUFOに関して調査する専門機関がないため、政府は今まで調べたことがない、と説明しただけ」と冷ややかに受け止めた。ただ、UFOと真剣に向き合わない日本が人類を破滅に追い込むという可能性について、持論を展開する。

「国がUFOについて把握していないのなら、当然、自衛隊はUFOに遭遇した『もしも』の事態に備えていない。仮に遭遇してミサイルを発射したら敵対行動とみなされ、向こうが束になって攻撃してきたら勝ち目はない。下手をすると人類は全滅。宇宙戦争に国境は関係ないのだから、日本は他国に迷惑をかけぬようきちんと備えるべきではないか」

米国ではNASA(アメリカ航空宇宙局)が、スペースシャトルの乗組員らに「もしもの事態に備えた教育をしている」というのが専門家の一致した見解らしい。

国内でUFOを精力的に撮影しているUFO写真家、坂本廣司氏(61)は「アメリカからの外圧があった」と直感したという。

「日本と宇宙人が手を結んだら、アメリカにとって最大の脅威となる。アメリカはこの事実を知っている。だから日本政府に事実を公開しないよう圧力をかけてきた、と私は見ている」

山根議員UFO論争は今月10日、民主党の山根隆治参院議員=写真左=が「米大統領選の候補者がUFOについて言及するなど、世界中で関心が高まっている」として、政府に質問主意書を提出したことが発端となった。

米国では10月、民主党のクシニッチ大統領候補が「目撃した」と発言したほか、元アリゾナ州知事のシミント氏も1997年に目撃したと主張した。また、退役軍人らが国の調査再開を訴えるなど、UFOを巡る動きが急速に活発化している。

政府は山根氏への答弁書で「存在は確認していない」としたが、UFO論争は永田町に意外な波紋を広げた。

福田康夫首相は「私は、まだ確認していません」とかわしたが、町村官房長官は「個人的には、絶対いると思っている」と、政府見解とは異なる見解を示した。麻生太郎元外相も05年の参院総務委員会で、「お袋は『見た』といって、えらい興奮して帰ってきたことがあります」と答えたことがある。

山根氏は「今回の答弁書は、40年も前に『UFOは確認していない』とした米政府の見解を、そのまま日本政府の見解にしただけ。安全保障はすべて米国任せだ」と、対米追従に徹する政府の姿勢を批判している。

矢追氏によると、最近、メキシコ上空にUFOの大編隊がやってきたという。「信じる、信じないの論議をしている場合ではない」と早急な対策を促してはいるのだが…。


UFOの舞う昭和の空 投稿者:元夏迪  投稿日:12月20日(木)01時45分15秒

新幹線初代の車輌が全て廃車になる由。流石に淋しいものを覚える。
疾うの昔に亡くなった祖母が、零系と呼ばれるこの車輌に病躯を乗
せて上京した折、これを駅頭に迎えた記憶が甦る。やせ細った祖母
を運んできた夢の超特急は、時速二百十キロメートルで疾駆した誇
りもどこへやら、どこか申し訳なさそうにしていた。昭和五十年代
の初めである。

子供にとって、未来は明るかった。大人にとっても、今よりは明る
く見えていたことだろう。その一方で、先行きが読めない不安もあっ
た。ボタン一つで世界が吹き飛んでもおかしくない時代だった。

そうした世相を反映してか、テレビ番組には(多少脳天気に)不思
議物を扱うものが多かったように思う。水曜スペシャル川口浩探検
、木曜スペシャル矢追純一未確認飛行物体追跡調査、心霊現象特
集。同じく「曜スペシャル」でも、昨今の土スペ「湯煙旅情なんと
かかんとか」とは、明らかに毛色の違う路線だった。

内閣が未確認飛行物体を未確認であるという禅問答のような見解を
示し、官房長官が未確認飛行物体は絶対にあるはずだと記者会見で
ぶちまける不思議な平成の日本。こうした閣内不統一を歎き、宇宙
教育の遅れに憤慨する矢追純一の評語を網上に見て、その不思議さ、
懐かしさに、頭が昭和五十年代冒頭に逆戻りしてしまう。だからこ
そ、鉄道御宅でもないのに、零系新幹線の引退に深い感慨を懐いた
に違いない。


受講生の営業 投稿者:元夏迪  投稿日:12月17日(月)23時19分26秒

「まあまあ先生、今年はすっかりお世話になりまして。来年もどう
ぞ宜敷」。

年内最後のギリシア語講読を終え、帰り支度の受講生からの挨拶だ。

「こんなに出席者が少ないのにわざわざ遠くまで来て戴いて。私も
アリストテレスを読んでいた友人に声を掛けてみたんだけど、クリ
トンて言ったら、鼻で笑われちゃって」。

プラトーンの『クリトーン』のギリシア語を鼻で笑う人が日本に溢
れる日が来るのを夢見つつ、来年も精進しようと心に誓った。


ダダ漏れユーザ増加中 投稿者:元夏迪  投稿日:12月11日(火)23時26分50秒

弊站にもプロキシを愛用する人が多数お見えである。なぜプロキシ
を愛用するのかサッパリ判らないということはさておき、プロキシ
と接続プロバイダ情報を抱き合わせで垂れ流す方もまた多い現実に
驚く。アクセスポイントの地域、国を問わず、このようなダダ漏れ
ユーザが出てきたのはなぜか。気がついていないのか、最近のネッ
トワークか、機器の都合か。とにかく見ていて異様な感じがする。


車中またまた一題 投稿者:元夏迪  投稿日:12月11日(火)20時11分19秒

帰宅時の中央線。もう各駅停車しかない時間に、車輌は水道橋を発
車。車輌中が聞き耳を立てる中、携帯に向かってイヤに陽気に話す
初老の男。

男「だからフクちゃんよんであげてね」
男「だから○○さんとドームホテルに向かってるところ」
男「だから○○さんとドームホテルに今日とまるから」

隣には男と同年配の御婦人。もちろん「○○さん」ではないのだろ
う。携帯電話の向こうは恐らく奥方。不倫の可能性が高いが、断定
は難しい。前後が聞こえなくて非常に残念。


車中また一題 投稿者:愚妻  投稿日:12月11日(火)19時16分23秒

帰宅時の中央線。20代前半の女性二人。混んだ車中で淡々と会話。

甲「垂乳根」
乙「ネコババ」
甲「バルバロイ」
乙「椅子」
甲「スランプ」

尻取りの可能性が高いが、断定は難しい。前後が聞こえなくて非常に残念。


ギボン 投稿者:元夏迪  投稿日:12月 6日(木)01時29分57秒

ギボン『ローマ帝国衰亡史』の筑摩版には結構誤訳があるようだ。
泉下のギボンが泣いている。

甚だしい例を一つ。中野好之訳、ちくま学芸文庫第八巻第八十葉
(第五十章)に曰く

ヘラクリウスはペルシア戦争から凱旋した時にエメサで、地上の諸
民族や君主にイスラムへの改宗を勧めるマホメットの使者の一人を
接見した。……(中略)……ギリシア人の虚栄心はメディナの君主
が皇帝の個人的来訪の栄に浴して皇帝から優渥にもシリア属州内の
豊かな所領と安全な隠れ家を下賜された、と言い立ててきた。


拙訳。

ヘーラクレイオスがペルシア戦争から凱旋した折に、皇帝はマホメッ
トが諸方に遣わした使節の一人をエメサで接遇した。各地の君公や
種族をイスラムの信仰告白に誘う使節であった。……(中略)……
虚栄をよろこぶギリシア人は、メディナの君公が直々に足を搬んだ
のだとうそぶいている。この君公は皇帝からシリア属州内に豊かな
所領と、安全な隠棲地の恩賜を蒙った、という。


原文。

When Heraclius returned in triumph from the Persian war, he
entertained, at Emesa, one of the ambassadors of Mahomet,
who invited the princes and nations of the earth to the profession
of Islam. ...[T]he vanity of the Greeks has feigned a personal
visit of the prince of Medina, who accepted from the royal bounty
a rich domain, and a secure retreat, in the province of Syria.


車中二題 投稿者:元夏迪  投稿日:12月 5日(水)23時32分20秒

昼下がりの井の頭線。十代の女三人。出で立ちは区々。一人は制服。
揃って厚化粧。

甲「あっしまいんち[私、毎日]カップ麺だよ」
乙「それってやばくない[尻上がりに]」
甲「てか肌荒れちゃってーやめようかなって」
丙「超ー体に悪そうじょん[じゃん]」
甲「てかカップ麺体にわりい[悪い]の? うちら子どものときか
  らずっとなんだけど。てか寝たら目が醒めないといいんだけど」

五分後。

丙「無人島になに持ってく[行く]?」
甲「あっし朝もーエネルギーぜんぶ抜けちゃってー目が醒めないと
  いいんだけど」
乙「てか何? 取り敢えずーひと。だって食べ物ないんだよ[尻上
  がりに]。てか外人[尻上がりに]。ムキムキのー。てか人い
  ないから食べ物ないんだよ[尻上がりに]。誰かいたら言葉通
  じないじゃん」

大股開きに脚を投げ出す三人を乗せて、電車は一路渋谷を目指す。


ラッシュの仁義 投稿者:元夏迪  投稿日:12月 5日(水)02時16分34秒

「済みません、降ります」
「ハイ」
「! 有難うございます」

電車で帰宅ラッシュに巻き込まれ、降車する際、周囲に声を掛けた
ら、初老の男が返辞を寄越した。ラッシュの仁義を逸脱し、そこに
通常の会話が成立したので、礼を述べて降りてきた。歳末を控えた
椿事である。


教本 投稿者:元夏迪  投稿日:12月 3日(月)23時20分41秒

教本や参考書というのは、使えば痒いところに手が届くべきものだ
と思うのだが、使えば使うほど痒みが増すというのはどうだろう。
要らないところに註釈があり、説明を欠くことの出来ない件には一
言もない。しかも誤解があった日には目も当てられない。その思い
の募った者が新しく教本を書くことになるのだろう。


無題 投稿者:元夏迪  投稿日:12月 2日(日)16時38分15秒

昨夜寝しなにプルータルコスの『ポンペーウス伝』を読んでいたら、
彼の最期が余りに気の毒で、しんみりしたことである。


一筆箋/御歸り/御問合

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