一筆箋舊帙    一筆箋/御歸り/御問合

平成十六年十二月十二日第二千四十一号
平成十六年十二月二十三日第二千七十号

S. A. D. 投稿者:愚妻  投稿日:12月23日(木)08時22分5秒

冬至が過ぎました。今年の冬はちょっと参ってて目下鬱々中なのでとても嬉しい。昨日2時半頃
外出してJesus Greenを突っ切ったらば、もう太陽が西の空、ちょうどSt John's のチャペルの
塔の辺りにオレンジ色に弱々しく輝き、足下の影は長ーく延びてげんなり。真冬でも芝生が青々
としているのが慰めといえば慰め。さてものの本によるとSeasonal Affective Disorder(季節
性気分障害)というのがあるんだそうで、要は網膜に入る光の量が減るとメラトニンなる物質が
分泌され、体温が下がって過眠がちになり、社会適応が悪化するんだそうです。早い話が冬眠
モードなんでしょう。すごく納得。メラトニンもなんだかよくわからないけど、mela-toninとい
うからには暗いんでしょう。なんか説得力ありまくり。という訳で、冬至のカボチャはないけれ
ど、柚子の精油で気分転換しています。食べたいのはむしろ鰻。

柚子といえば、私の実家の雑煮(たぶん会津とかその辺風)はおすましに鶏、海老、椎茸、葱、
プラス三つ葉&柚子で、私が作ると自動的にこうなります。今年はかなり手抜きの予定です。ス
ペシャルゲストののっぼさん。ごめんなさい。

実は鴎外先生って世の中ではかなり人気がないのですね(知らなかった)。段々可哀想になって
くるも、
  「すぐに貰った初の細君は長男を生んで亡くなった」@『エロライフ』
とか書いているのを読むに、やっぱりなんなんだこいつと思ってしまうんですが。

針鼠さんは鴎外さんのどんなところがすきですか。


歳末らしい 投稿者:元夏迪  投稿日:12月22日(水)23時04分7秒

文化庁が雑煮のレシピを募集しています。色々ありそうですね。皆
さんの御宅ではどのような雑煮を御祝いですか。


陰徳陽報 投稿者:元夏迪  投稿日:12月21日(火)12時17分5秒

おや電車男君も震災救恤に寄付ですか。先日の宝籤といい、本朝の
美俗の真面目ですね。

産経新聞が掲載した、高砂義勇兵顕彰碑護持拠金者リストにも、名
前がいっぱい並んでいました。変な名前もいっぱい並んでいました。
ななしさんという名前もいっぱい並んでいました。


鮮風 投稿者:元夏迪  投稿日:12月21日(火)12時05分38秒

つげときて、ちげーと来れば、次はチゲだろうか。流石は韓流の御
時世だ。

裴君勇俊が二億円の寄付をしたそうですね。物腰や話し方から察す
るに、生真面目な御仁なのでしょう。


でもやっぱり 投稿者:愚妻  投稿日:12月21日(火)01時26分39秒

「ああ、愛しのハイモーン!!!!」


愚妻氏にささぐ 投稿者:針鼠  投稿日:12月20日(月)21時48分10秒

ちげーよ。愚妻。ちがうんだよ・・・

ひとつだけいわしてくれ。「作家としての鴎外をどう評価するかは
別問題」とあるが、少なくとも僕はこういった分け方をして論じて
はいない。僕は彼のことがすきなんだよ。

愚妻よ!俺のソウルフルクライをうけとめてくれ!!!


漱石鴎外曽遊の地 投稿者:元夏迪  投稿日:12月20日(月)07時20分55秒

熊本文学散歩は読みでがある。熊本国府高等学校パソコン同好会の
作。凄い。


もちろん 投稿者:元夏迪  投稿日:12月20日(月)02時52分24秒

つげ氏の圧勝です。


つげ『新版・貧困旅行記』 投稿者:元夏迪  投稿日:12月20日(月)02時51分21秒

アマゾン日本の該当頁を見ると、星も売り上げも『古代オリンピッ
』の比ではない。嬉しいような哀しいような。


鉱泉 投稿者:元夏迪  投稿日:12月20日(月)02時44分22秒

『現代語・古語 新潮国語辞典 第二版』を引いてみた。
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コウセン【鉱泉】(クワウ−)
鉱物質を比較的多く含むわき水。冷泉と温泉とあり、普通は冷泉を
いう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鉱泉は冷泉(レイセン)を指すものだと信じて疑わなかったから、
低温四十五度以上の釜茹でを鉱泉と呼ぶ銭湯に驚いてしまった。こ
ちらの料簡が間違っていたわけだ。

「鉱泉=冷泉」のイメージを我が脳髄に刷り込んだは、つげ義春氏
の随筆である。鉱泉を繞る氏の佳句も多い中で、殊にあわれを催し
た一節を引く。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
開放的な温泉と比べ、鉱泉はどことなく日蔭臭い味があるのが、だ
んだん解るようになってきた。イメージとしても、沸きたつ温泉よ
りも、青緑の冷ややかに澄んだ冷泉のほうが、気持に浸透してくる
何かしら濃いものがあるように思える。
−「下部・湯河原・箱根」『新版・貧困旅行記』(新潮文庫、平成
七年)六十二頁

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東大鉱泉の想を練りつつ、医学部某所にあるというホルマリンの水
槽を連想し、臭気の漂う冷ややかな水面を瞼に想い描いた不佞は、
気持に浸透してくる禍々しさを振り払うべく、煮え滾る六龍鉱泉で
湯垢離をする他はないようである。

#大江某の話は無論創作である。


六龍鉱泉 投稿者:愚妻  投稿日:12月20日(月)01時26分25秒

低温45度以上、高温46度以上だそうです。ち、ちょっと熱め、かな…?江戸っ子向けか。

http://www.yunokuni.com/tokyo/vol10/next01.html


いやしかし 投稿者:愚妻  投稿日:12月20日(月)01時20分43秒

結婚したり子供ができるという事は、相応の社会的責任が伴う訳で、男女のもめごとではすま
ないのです。第一子供が気の毒。せめて慰謝料と養育費をがっぽり取れればいいですが、奥さ
んの方が圧倒的に金持ちそうだし、無理っぽい。とりあえず、友達がこの手の男にコロっと騙
されて結婚しそうになってたら、不幸になるから止めろと言います。

作家としての鴎外をどう評価するかはまた別問題ですが、「われとわが心さへ變り易きをも悟
り得たり」@『舞姫』とか、冗談顔だけにして欲しいと切望してしまうのもまた事実。

へちおさん、「六龍鉱泉」情報有難うございます。全く知りませんでした。いつか行ってみま
す。鴎外邸もなぜか手許に送られて来たパンフを見る限り、鴎外が住んでた事を除けばなかな
か素敵な和風建築なので、行ってみたいです。そういうことなら、東大でも掘れば温泉が沸き
そうですね。「東大温泉」では儲からないでしょうか。医学部の病院の療養施設にもなって一
石二鳥!


どうでもいいことですが 投稿者:へちお  投稿日:12月19日(日)21時12分20秒

鴎外にこだわらないのであれば,六龍鉱泉(根津駅近くの銭湯)でもよいのではないでしょうか? おそらく源泉は同じだと思われます


林太郎のために 投稿者:針鼠  投稿日:12月19日(日)17時16分43秒

それは鴎外が悪いのだけれど、男女のもめごとで10対0でどちらかだけが
絶対的に悪いということは滅多にないのだから、あまり彼のことを責めない
でやってほしい。

先日、夕方に学校を訪ねて、その後で書籍部に寄ったらば元氏の指導教官に
であった。実は研究室でもあっていたのだが、そのときは「先生は博論の指
導は全部出来上がってからされますか。それとも部分部分ごとに指導されま
すか」と問うたら「それは全部出来上がってからですねえ。忙しいですから」
と返事がかえってくるなど、なんとも世知辛いやりとりがあったのみで少し
さびしい思いをしていた。それが書籍部でであったときは、お互いに意外だ
ったからであるか、親しく寄り添いながら「最新号の『史学雑誌』は・・・」
「あらそうですのあたし読まなけりゃ」そっとみつめあうといった具合で、
暖かい気持ちになって別れることが出来た。それから夕方6時、まだそんな
に遅い時刻ではなく人も歩いているけれど陽は落ちて真っ暗という構内を静か
に歩き出して、竜岡門から春日通りに折れて、上野の方に降りていくことにし
た。湯島天神にさしかかったところで右手に折れて鳥居をくぐり、境内に入っ
た。一組二組ほどの家族が参拝している。灯りと灯りの間をぶらぶら歩いてい
くと、水谷八重子の筆になる新派の碑と、さらに都内では唯一という屋外ガス
灯がともっている。別に昔からあるものではなく、近年になって復活させたも
ので、これらは全部、泉鏡花「婦系図」が湯島天神を舞台にしている所縁から
だと説明書きに書いてある。そこから別の鳥居をくぐって長い石段をくだり、
ぶらぶら歩いて御徒町まで出る。アメ横で干しあんずを買って、上野駅前の古
本屋でコンラッド『西欧人の眼に』を買って、安い食堂で夕食をとって、聚楽
台でアイスコーヒーを飲んで、帰った。


鴎外温泉つづき 投稿者:愚妻  投稿日:12月19日(日)09時48分53秒

その後得られた情報によると、根津の鴎外邸に鴎外が住んだのはわずか一年半なんだそうです。
がっくり。ドイツ留学から帰国した半年後に結婚(仲人は西周)、お舅さんに家を提供しても
らって入居するも、奥さんが妊娠&出産して一ヶ月後に離縁、家を出たのだそうです。鴎外サ
イテー。しかもその間に書いてた作品がよりによって『舞姫』。うへぇ。絶対にお友達になり
たくない人トップ10にランクイン決定。しかし温泉には罪はないので、いつか行ってみたいも
のです。


庖丁 投稿者:元夏迪  投稿日:12月19日(日)03時16分30秒

鋤焼きやしゃぶしゃぶの肉は、なぜああも薄く切れるのか。専用の
庖丁があるのだろうか。

不思議に思って検索してみたら、関東と関西とで刺身庖丁の形が違
うことを知る。関東風蛸引とやらを見た記憶はないが、柳刃風に切っ
先があると、喧嘩っ早い江戸っ子には危険なのだそうだ。本当か。

謎は増え、深まるばかりである。

のっぼさん、よう御越し。ごつい話題を愉しく拝見。追ってレスを
差し上げます。

#各位の御意見も伺ってみたいところです。


神話 投稿者:のっぼ  投稿日:12月18日(土)07時12分49秒

昨晩は共用キッチンに、同じ階のギリシア人と
その友人のイタリア人、ドイツ人がいたので、
焼きそばをご馳走し、そのご歓談。
論争好きのギリシア人が、ジューについてどう思う?
今だに選民とかアホだよね、と投げかけ、
まじめなドイツ人が彼らの歴史を考えれば理解はできる、と哀れむ。
イタリア人の女の子はドイツ人に同意。
日独伊、という訳ではないけれど
「国家がないところに国家建設をするんだ、神話は大事な戦略だよ、
 ギリシアだって、そうやってきたじゃない、
 欧州諸国の武力による後押しを受けたところだってさ、
 どこかの国とちょっと似ているところが・・・」
と、たどたどしい英語で言ってみました。
ちょっと収拾がつかなくなりました・・・。
その後、ドイツ人に
「でもほら、選民思想を馬鹿にしているけれど、
 神に選ばれた、支持されているって言うのは、
 君たちの祖先だってやってきたことじゃない。もちろん、日本もね」
と、まだるっこしい英語で言ってみました。
キリスト教はレボリューションで、
神に愛されているということは全く違うことなんだ、
と説教されてしまいました。きっと僕の悔悛を願っていたのかも知れません。
反応も予想の上で質問してみたので、
本音(かどうかは保証されませんが)が聞けて、良い経験だったと思う反面、
そういう質問が、一応先進国の、
大学院生というアカデミックな場に生活する人たちにとっても
相当デリケートな問題であることを再認識し、
意地悪して悪かったなあ、と反省した次第です。
まあ、僕のひどい英語を辛抱強く聞いていた時点で、
怒りよりも哀れみの方が先に立っていたでしょうけれど。


難読人名 投稿者:元夏迪  投稿日:12月18日(土)02時47分34秒

「蓮」「颯太」という名前が流行っているそうな。

蓮。どう読むのだろう。レン。はす。はちす。ピッチの位置も判ら
ない。抑も読み方を間違えているのか。「ろおたす」なぞはどうだ。

読み方で不可解なのは「颯太」も同じだ。ソウタなら判るけれども、
この字でフウタと読む場合もあるという。字引の音には「サフ」と
慣用音の「サツ」があるばかりである。現代漢語の普通話でも
この字のどこをどう叩くと「フウ」なる音が出てくるのか。

仔細ありげである。幕政後期の大儒、慊堂松崎退蔵明復先生の号は
「ケンダウ」ではなく「カウダウ」である。漢語の音を引けばqiè
qiànになる。各々「満足する」「不満である」と、意味は正反対
だ。安井息軒の師匠であるから、「カウダウ」には何か深い謂われ
があるに違いない(どなたか御教示願います)。我らが「フウタ」
にも何やら曰くがあるのではないかと揣摩憶測する次第である(ど
なかた御教示願います)。

颯太で「サッタ」はいないのか。「サフ」の入声が「タ」と連声を
起こしそうなものである。「早速」と同じ理屈だ。梵語のサットヴァ
みたいで、カッチョええと思うのだが。


ぼやき 投稿者:元夏迪  投稿日:12月17日(金)22時38分15秒

暖を取るほど知恵熱が出なかった所を見ると、まだまだ頭の使い方
が足りないようだ。アルディ特製クルトン入り野菜スープ(粉末)
を啜って、ようやく人心地がついたのであった。


知恵熱で暖を取る寒い夜 投稿者:元夏迪  投稿日:12月17日(金)11時50分18秒

IBMを馘になったプログラマーに喝を入れようとしてしくじったマ
ルクス主義者の失敗談とか、ガーナの部族の伝承は創造だとか、カ
ドベリーチョコレイトは帝国の過去を隠蔽しているとか。昨日、今
日と読んだものが少々ロンパリで、頭が疲れました。

旧友から久方振りの書翰。発信地がアムステルダムで吃驚。相州辺
にいるものとばかり思っていたら。


事務連絡 投稿者:愚妻  投稿日:12月16日(木)08時06分50秒

寿限無の間違いだそうです。


寿無限の方ではなくて 投稿者:元夏迪  投稿日:12月16日(木)07時51分28秒

さる網站で懐かしいコピーを目にする。禁煙パイポの「私はこれで、
煙草を止めました」。

「これ」とは指に摘んだ禁煙パイポ。テレビコマーシャルで数人の
小父さんが入れ替わり立ち替わり画面に登場し、この台詞を繰り返
す。最後の一人が小指を立てて見せながら「私はこれで会社を辞め
ました」というオチがつく。

会社を辞めた色男ではないが、煙草を止めたと語る一人が、実は知
り合いだった。同じ道場で弓を引く仲間だった。

他人の空似にしては怖いくらいに似ていると言い出した友人と、本
人に質してみたことがあった。シャイな方で「いやあそんなぼかあ」
とかわしていたものの、我々のしつこさに観念したのか(失礼なこ
とをしたものである)、「実は」と打ち明けた。

手持ちのパイポを見せながら「あまり飲まない口だから、パイポな
んて使ったことはなかったんだけれどもね。やっぱりそれじゃなん
だからさ」と言い、義理堅く携行するに及んだ経緯を話してくれた。

当時四十代になったばかりだったと思う。強弓を引く人だった。数
年後に亡くなったと聞き、無常の風を感じたものである。肺癌だっ
たそうである。


強面のロビイスト 投稿者:元夏迪  投稿日:12月16日(木)00時17分9秒

シュレーダー氏が拒否権獲得を画策。彼の国を追い込まないように
願いたい。日独だと刺戟も強かろう。


事務連絡 投稿者:愚妻  投稿日:12月15日(水)07時16分23秒

京都天竜寺の鰻屋「廣川」、なんと本店は埼玉県熊谷にあるそうです。
埼玉の鰻レベルは非常に高いらしい。要確認。

今日のご飯は親子丼。


「よい」は形容詞現在形 投稿者:元夏迪  投稿日:12月15日(水)03時55分54秒

邦語形容詞の活用形は九つで、各々の形に固有の時制があるのだそ
うだ。亜米利加合衆国の言語学者、バーナード・ブロック氏の見解
を孫引きする。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
In Japanese, time relations can be found on the adjective as well as
the verb. In this language, in an analysis made by the American
linguist Bernard Bloch, adjectives are inflected for nine categories.
One of these (the usual one cited in dictionaries) expresses non-past
time: the attribute (e.g. 'good') is true now or in the future. The
adjective does not mean merely 'good', but 'BE good' -- that is, 'is
good now' or 'will be good'. Another inflection expresses past time
-- the attribute 'was/has been/had been (etc.) good'. Another contrast
distinguishes an indicative meaning from a presumptive one: for
present time, the attribute is 'probably good, will probably be good,
may be good', etc.; for past time, it is 'was probably good', 'must
have been good', etc. And so on -- nine contrast in all. Several of
the endings correspond to those used in verbs, making the adjective
a much more 'active' part of Japanese speech than it is in English.

-- Crystal, David, 'Talking About Time,' in: Ridderbos, Katinka, ed.,
Time, Cambridge: Cambridge University Press, 105-125, pp.115-6
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ロドリゲス『日本語小文典』では、邦語動詞を活用形にそって分類
するのではなく、助詞、助動詞と連結した上で、ギリシア語、ラテ
ン語文法の規範に当て嵌めてあったと思う。邦語動詞の直説法や接
続法、希求法などが並んでいる様に仰天した記憶がある。

十六世紀のロドリゲスと、前世紀中葉に活躍したブロック氏と、二
人の視線が重なるようで面白い。こういう枠組みが泰西人の語学習
得を便ならしむるというのも、憶えておいて損はない。それにも増
して興味をそそるのは、ブロック氏を祖述するクリスタル氏が言語
に応じて変わる時制を論じていることであり、該当言語の時制のロ
ジックを観察する必要を説くことであり、それでいてなお、邦語の
論理とは程遠い理解を提示することである。

観察側の視線を観察対象の視線にすり替えるのは、泰西の培う野蛮
学(人類学、東洋学等)に骨絡みとなっているのだろうか。


エラスムス式 投稿者:愚妻  投稿日:12月14日(火)10時16分11秒

古代語のエラスムス式発音にもイギリス風だのドイツ風だの色々あるようですし、エラスムス
式も結局は時代差や地域差を捨象した理念型でしかない以上、内的に一貫していればいいんで
は、と個人的に思います。日本語も字に書いてしまうとTYXHが「テュケー」、DIKHが「ディ
ケー」になってXもKも区別できず、日本語会話の合間に発音する場合も「テュケー」「ディ
ケー」になっちまいますが、その点、綴りでもちゃんと区別できて、なおかつ「テュヒェー」
「ディケー」と区別して発音してくれるイギリス風エラズミックは便利だなーと思ったりもし
ます。とりあえず母音の長短と韻律の規則だけ押さえていてくれればいいんではないかと(そ
れがなかなかいないんだけど、それは日本でも同じ…)。ギリシャ人もフランス人も、自分の
習った発音スタイルが一番正確だと信じてギリシャ語なりラテン語の語感を体得し、読んだり
書いたりしているなら、それでいいんじゃないですかね。結局は慣れでしょうし、古代人と
会って話す機会もあまりなさそうだし。eighty-eightが「アイティーアイ」でも「オイティー
オイ」でもいいんですから、Zeusがズースだってツォイスだってゼフスだっていいんじゃない
かしらん。

といいつつ、ケンブリッジ大学のギリシャ悲劇上演で唯一、辛うじて追う事ができたのは、イタ
リア人のエラスムス式だけでした。でもそれ以前に私は時代劇の昔風日本語の聞き取りができな
いのです。あれこそGreek to meですわ。あははは。


アテネもアラバマも 投稿者:のっぼ  投稿日:12月14日(火)07時03分46秒

今日は件のホーマーの読み方についてのお話を聞いてきました。
何より実感するのは自分の英語能力の低さで、話の半分も分かってはいませんので
以下の話も、またその半分位のつもりでお目汚し下さい。
アテネからアラバマまで、とありましたが、
ギリシア人、英国人(学生、教師)、ドイツ人、米国人だけ、
しかも、ケンブリッジにいる学生、教師をつかまえて録音したので
地理的には一つところだったというのもなかなか厳選されています!!
ま、現代ギリシア人の母音もアレだけど、
エラスムス式のピッチアクセントがきついのもひどく滑稽、
英国風の各脚の始めを強く読むのも如何かしら、といった具合。
結局お勧めしていたのは、
同僚のHorrocksさんの読み方で、あまり劇的なパフォーマンスを含まずに、
韻律重視、ピッチアクセント重視により意味が不明になる事のないように(?)
云々と仰っておりましたが、
韻律も頭で考えてようやく基礎的な事が分かる程度の僕では、
耳で聞いただけで、しかも英語の説明では、頭が追いつかず
θを英米風のth、
χを現代ギリシア語風のchに発音したりする方が気になってしまいました。
(いわゆるエラスムス式だと、日本で教わるものの方が近いと信じていたのですが?)
結局、一応ギリシア研究者である手前、
Horrocksさんの本かなにかで勉強した方が良さそうだ、
という事だけは分かりました。
で、さっき検索していたら、こんな楽しげなサイトがありました。

http://www.oeaw.ac.at/kal/agp/


イタリア風 投稿者:元夏迪  投稿日:12月14日(火)02時27分24秒

イタリアの書店に頼んだ書籍がまた(゛)届かない。

先方に打電して照会する。間髪を入れずに返電が届く。書店側も色
を失っている。「Poste italianeに調査を依頼しました」。

一日平均郵逓可能距離が数百メートルという汚名を誇るポステ・イ
タリアーネの調査結果はまだ出ない。出ているのかも知れないが、
まだその報に接しない。

別の書店からさる史家の全集を購ったことがある。かなりの嵩で、
剣橋の弊屋に置くのを躊躇い、本朝の実家に配送方を依頼する。数ヶ
月経ってもこれが届かない。

書店に照会すると、担当者は虚を衝かれたという風で、搬送中に紛
失したのかも知れないし、我が国からお国(日本)に物を送るにも、
不慣れな者がいて間違いをしなかったとも限らない、新規にひと揃
いお国か剣橋に御送りしたい、後で元の荷がお国に着いても、送り
返して戴くに及ばない、との懇篤な申し出である。

メイルで交信をするにも、退勤後の自宅から、深夜にすぐ返信を寄
越す。こちらが夜更かしをしているだけなのに、さらに夜更けのフィ
レンツェで返事を書いている。「いや、私も今日は夜更かしをして
いますものですから」。返事は急がないとこちらが書き送ったメイ
ルに対する挨拶だ。郵便局で働くのもイタリア人なら、こうしたメ
イルを書いて寄越すのもイタリア人である。

新規に全集を発送する段取りをするうちに、日本宛の荷が書店に舞
い戻ったそうである。その荷を当地の仮寓に転送して貰い、三日ほ
どで落手した。


イスタンブルでデモ 投稿者:元夏迪  投稿日:12月13日(月)15時40分2秒

NZZ(早晩鏈接が切れるだろう)を斜め読みしていたら、十二日日
曜、イスタンブルで六千人規模のデモがあったそうな。トルコは欧
州連合に加盟すべきではないという。

この数字を多いと見るべきだろうか。少ないと見るべきだろうか。
そう思案するよう仕向けられているような気がしてならない。

「他人とこの地を分かつ積もりはない。我々はトルコ人として生き
るのだ」

そんな声を拾ってある。あざとい。


大阪城—マイドリーム 投稿者:元夏迪  投稿日:12月12日(日)11時16分11秒

小学三年の頃、塀の上を疾駆する最中に足を踏み外し、二メートル
下の地面に落下した。咄嗟に左手を出し、それで全体重を支えよう
としたら、骨に罅が入ってしまい、爾来猿腕である。

御蔭で待ち焦がれた大阪城見物の際にも、左腕はギプス巻きだった。
大きな蛸石の前に佇んでも、白堊の天守に登っても、心は楽しまな
かった。引率の叔母が大判の絵端書を買ってくれる。光化学スモッ
グを溶かし込んだ大阪の空が重い。

再び叔母に連れられて、大阪城に游ぶ。前回とは打って変わって、
城郭は凋み、育徳園のやや小振りにした規模である。その陰翳は名
主の滝公園を思わせる。

大手門から碧色の自家用車を天守台脇に付ける。嶢と聳える名建築
を仰ぐ。天守地区が窮屈で、仰ぐ首が痛くなる。高さを実感して登
楼に及ぶ。内部には入らない。新機軸である。右手に周り、坂道を
登る。アスファルトで舗装した道は広いが、傾斜は凄まじい。

漸く頂上に辿り着くと、左手の断崖に薄い天守閣が貼り付いていた。
大阪城の大天守も、実際には斜面を利用したトリックアートだった
のか。己の無知を羞じる心が深い分、蒙を啓かれた喜びも一入であ
る。

天守閣の頂上裏手に隠れた公衆便所で用を足し、停めてあった瑠璃
色の自家用車の助手席に颯爽と乗り込んだ。


一筆箋/御歸り/御問合

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