一筆箋舊帙    一筆箋/御歸り/御問合

平成二十年八月一日第三千百二十一号
平成二十年九月二十一日第三千百五十号

間[あわい] 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月21日(日)12時13分43秒
今週火曜。一日晴れて、軈て黄昏れようとする駒場湧水に続く階段
で、初老の男同士がすれ違う。

「どうもどうも、ワタシ、お父さんになるもんでねエ」
「お祖父ちゃんじゃないの? その歳でさア」
「それがお父さんなんすよ、だからこの夏は外国にも出張しないで、
いつでも[病院に]行けるようにって」
「へー、えっへっへー」

混ぜ返し、冷やかした男は階段を上ってキャンパスに消えた。不佞
の横を擦れ違うこの男が微醺を帯んでいるのに気づいたが、このキャ
ンパスの入り口には「構内全域禁煙」の看板しか立っていないこと
を思い出す。

最寄り駅のプラットホームで汽車を待つ。地上改札から高架のホー
ムに出る階段を登ってくる初老の男がいる。巨大な蝙蝠傘をさして
いる。吹きさらしのホームに出て来ると、ピアノ塾「シュベスター」
の看板の前で傘を畳み、汽車を待つ。同年配の女が付き添っている
のが目に入る。不佞と同じ汽車に乗り込み、男と女は差し向かいの
席に座る。不佞の隣の女は「お父さん、ほら上着、この鞄に入れる
わよ」。蝙蝠傘は虚ろな目で上着を差し出す。

西の空は茜に染まりかけていた。この一瞬の間[あわい]には、こ
うしたことが起きるものなのだろうかと思いながら、家路を辿った。

祭礼の雨 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月21日(日)11時55分49秒
濛雨の中を、遠方から熊野宮の神が家の前の街道を渡御して行く。
大人が三人攀じ登る巨大な太鼓を打ち鳴らし、貴[あて]な御輿に、
おかめが荷台で踊る軽トラ御囃子号が目の前を過ぎって行く。太鼓
を打ち鳴らす号令「ショーンーリー」はまさか「勝利」ではあるま
いな、などと思いつつ、遠く紀州から武州の新田に流れ着いた古い
神を拝[おろが]む。熊野の神に供奉して鈴木氏も下って来たので
あろう、その名を冠した鈴木町、鈴木街道、鈴木家の当主の名を取っ
た喜平橋が台地を今も飾っている。

澆季に 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月20日(土)11時49分26秒
昨夜は本郷で白銀ラテンの泰斗にセネカの話を伺う。黄昏の時代に
生きるセネカの胸中と修辞に秘められた病的な魅力を突きつけられ、
文字通り蒙を啓かれた思いである。会の後、ストアー哲学の説く
クピュローシス
の概略も教わる。最新の宇宙理論を連想せしめる教
説に、気宇は一気に壮大となる。

餐を共にし、食堂を出ると、雨中、夜の小祠に柏手を打つ男の後ろ
姿があった。ビルの谷間の祠のことは知らぬとばかりに、本郷三丁
目の交差点は広く、車が行き交い、酔客は千鳥足であった。

密談果てて 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月17日(水)23時54分6秒
針鼠さん、よう御越し。雄勁な調べの雅歌ですな。全く以て愉しかっ
た。自分は「クラシシスト」か「ヘレニスト」だと思っていたので
(英語ではそちらに括られることが多かった)、「ヒストリヤン」
だったか乃公も、というヘウレーカの喜びも味わったことですよ。

雅歌 投稿者:針鼠 投稿日:2008年 9月16日(火)21時24分37秒
ヒストリアンズの小卓でひっそり歓談楽しかったネ。ランラン。

慶事 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月15日(月)00時46分8秒
寝て起きたら、友人の結婚式だ。めでたい限りだ。

備忘録 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月14日(日)23時09分29秒
考えるところ多いブログ

へそまんじう由来記 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月14日(日)18時56分19秒
古来へそは大切奈ものながら世人之れを茶目で|ユーモアな存在と
してゐるが体の中央に悠然と|構へその形も千差万別で、満月型あ
り、月見型|あり、谷見型、藪[原文竹冠]にらみ型、稀には出臍
等愉快奈のがあれ共フツクラとした月見型を最も可と|すると古書
に見えたり。

心のひねくれしを臍曲りと称へ笑可[ママ]しきときは|臍が茶を
沸すとか 臍の宿替とか申し又漢[ママ]|の項羽が山をも抜く力
もへそごまをとりて力忽ち|衰へたりといふ ゆめゆめへそごまは
とるべからず。

抑々弊舗特選のへそまんじうはその昔永禄|六年当地より程近き辛
垣城に據れる三田弾正|綱秀を小田原の北条左京太夫氏康と其の子
滝山|城主北条陸奥守氏照父子が晝夜を分たず攻め|立てしが中々
落城せず偶々折柄の大雷雨中を隣|峰その名奇しらも雷雨山口より
攻めこんだ豪勇|無双の十勇士によりさすが難攻不落の辛垣城も|
陥落したるがこの十勇士が当時この附近の茶店で|購った兵糧のま
んじうを腹巻に包んでおいた所|不思議や全部このまんじうの型に
変り大雷雨に臍|も取られず然も勇猛果敢奈働きに澤山の恩賞を|
授けられしとか。

依ってこのへそまんじうを常に賞美し臍下丹田に力を|入れて世に
處する奈ら必ずその成功疑ふ可からず
              秩父多摩国立公園神代吊橋畔
            登録商標へそまんじう本舗
                          主人敬白

奥多摩銘菓「へそまんじう」の説明書。

今日は武蔵野の各地で秋祭。吉祥寺の商店街にも、国分寺駅のビルの
自由通路にも、御輿が渡御して、秋を涼しくした。「ワッショイ」
が「ソイヤ」という変なかけ声に変わっても、秋祭や中秋の名月は
よいものである。へそまんじうで祝いたい。

白い陽に集く蝉 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月12日(金)08時23分10秒
今日は午後からSyme翻訳班の会合。ピリッポイ(フィリッピ)の
会戦に勝利したアントーニウスの動静を追う章。埃及の女王も登場。
夏を見送り、必死に鳴き納める蝉の声を聴いていると、兵どもが夢
のあとと呟きたくなる。

一息 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月11日(木)22時54分2秒
夏休みを潰してさる作業のお膳立てを調え、今昧爽やっと一段落し
たら、来週からは出勤。もう読書の日数は限られているが、今日は
久振りにそれらしいことが出来、一息ついた。今週末には少し書き
ものも。

不易而 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月 8日(月)13時05分57秒
新宿の戸山団地が限界集落状態に近づきつつあるそうな。高等学校
時分に親しんだ地域である。当時も多少古びて見えたが、まだまだ
沢山残る昭和中期の街並みに過ぎなかった(時代も昭和であった)。
経ること二十数年、そのまま時が過ぎて限界集落になろうとは。ま
わりがそれだけ変わったということなのだろうか。母校もすっかり
面変わりをしたように。

コロス(合唱隊) 投稿者:愚妻 投稿日:2008年 9月 5日(金)22時15分42秒
ふとWikipedia で「コロス」の項を見てみたら、訳の分からない説明が
ついていて頭を抱えてしまってあちこち見てみた所、どうやら元ネタは
英語のWikipediaのGreek Chorusの項で、これを誤訳しているらしい。
でもその元になっている英語の記事もかなり酷い内容で、ここにリンク
してるイタリア語とフランス語の記事は大分ましなんだけど所々に
「???」ってな記述が混じっており、まあ当たり前と言えば当たり前
なんだけど、Wikipediaを使う時には気をつけないといけないなーと再
確認した次第。

ブラックホール 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月 5日(金)18時45分18秒
太陽表面の黒点が消失したという報に接し、教養時代に聴いた宇宙
物理が懐かしくなり、ウィキペディアで関連項目を読みふけること
暫し。軈てブラックホールの項目に行き当たる。

ブラックホール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

曖昧さ回避 漫画『キン肉マン』に登場するキャラクターについて
はブラックホール(キン肉マン)を、全穴式汲み取り式便所の俗称
については汲み取り式便所をご覧ください。

ブラックホール(Black hole)は、重力が強く、光さえも抜け出せ
ない時空の領域のことを指し、その中心に特異点が存在する。……


渺たる感慨に襲われた。

補足事項 投稿者:夕霞堂隱士 投稿日:2008年 9月 5日(金)17時28分18秒
・現行一筆箋のログは千件まで保存します(旧板は二百件)。但し、
 舊帙を基地としてログの補完を行う点に変わりはありません。

・現行一筆箋では、検索ロボットのクロールを弾く機能がありませ
 ん。旧板とは異なりますので、個人情報等の取り扱いには御注意
 下さい。なお、舊帙ではクロールを弾いてあります。

・現行一筆箋では、投稿記事のタイトルをクリックすると、その記
 事の頁を開くことが出来ます。個々の記事に番地が付されている
 ので、記事の内部に鏈接を貼ることが出来ます。

・現行一筆箋では、投稿欄が狭く、視認性に問題がありますが、個
 別の記事の頁を開くと、各頁に投稿欄を表示するボタンがあり、
 これを押して投稿欄を呼び出すと、広やかなスペースで作文をす
 ることが出来ます(何故このように投稿欄が分散しているのかは
 判りません)。

・現行一筆箋には、旧板にない機能が追加されていますが、管理者
 の判断でその機能を切り、極力単純な板として運用しています。

帝政期理解 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月 4日(木)15時34分5秒
ローマ帝政期の理解を学生に問う問題を作成して御覧、と学生に水
を向けると「キリスト教を公認したのは誰ですか」とか、「大迫害
をしたのは誰ですか」の如きを持ち出す者が極めて多い。不思議で
ある。秀逸だったのは「アントーニーヌス勅令の意義を説明せよ」。
こちらの意図をよく汲み取った案である。

日原関係 投稿者:元夏迪 投稿日:2008年 9月 4日(木)04時44分24秒
日原街道は端から端まで何度も歩いているものの、古道の方にはな
かなか縁がない、と思っていたら、探索している人の網站を発見。

移行 投稿者:夕霞堂隱士 投稿日:2008年 9月 4日(木)01時11分3秒
本日新一筆箋を稼働致しました。今後とも宜敷御付き合い下さい。
旧板のログも、追々全て舊帙に納めます。


運転停止 投稿者:夕霞堂隱士  投稿日: 9月 4日(木)01時10分45秒

平成十三年四月一日に起動したこの掲示板を閉鎖し、新番地に移転
します。これを以て、当一筆箋の運転を停止します。


困りもの 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月18日(月)14時35分8秒

マイクソソフトワードで生成したpdfの出力に矢鱈滅多等手間取る
のは何故だろう。滅茶苦茶なデータを無理矢理それらしく見せかけ
ているせいなのか。ワード文書とセットで撒く為に作成して、泣き
を見る。


一筆箋閉鎖に就いて 投稿者:夕霞堂隱士  投稿日: 8月15日(金)01時53分52秒

閲覧者各位には既に御承知の通り、現在の一筆箋は平成二十年九月
三十日を以て消滅します。これに伴い、新番地に一筆箋を移転しま
す。既に稼働実験を行っている最中です。追って転送先に鏈接致し
ますので、いま暫く御待ち下さい。


○痴 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月15日(金)00時16分31秒

北京五輪は一向に見ないが、開会式で「東方紅」等の革命歌を歌っ
たと聞き、流石に失笑を禁じ得なかった。


スクラップ 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 5日(火)23時39分49秒

Necropolises. 本当に使うものだとは。


重ねて試訳 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 4日(月)01時44分26秒

『ペリクレース伝』の問題の箇所をこんな具合にしたら、もう少し
構文に忠実で、通りがよくなりそうだ。

「賤しい者が自らの手で物を創り出す―益体もないことに骨を折っ
ているのだから、善美を蔑ろにする行為ですよと、自分で暴露して
いるのだ」。

前後の脈絡を視野に入れると、どちらの訳がよいのか、一概には言
えないのだけれども。ギリシア語の心得のある方は、翻訳を工夫な
さってみると、よい暇潰しになるでしょう。


さてこそ 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 3日(日)19時29分23秒

柳沼氏の易簀が惜しまれる。


英訳を読み違えたらしい 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 3日(日)19時28分23秒

「卑しい仕事に直接手を染める者は自分のしていることが何の役に
も立たないということで焦燥を覚えるが、この焦燥こそは、それを
して立派な事柄に対する無関心に他ならないことを自白させている
のである」。

安藤弘の訳すプルータルコスの『ペリクレース伝』第二章冒頭であ
る(村川堅太郎編『プルタルコス英雄伝 上』ちくま学芸文庫)。
例によってちっとも判らない。

拙宅には柳沼重剛訳がないので、手抜きもここまでと観念し、原文
を読んで試訳。

「賤しい者が自らの手で物を創り出すのを見れば、益体もないこと
に骨を折るのは、善美を蔑ろにする行為であると直ちに知れる」。

原文は

hE d’autUrgía tÔn tapeinÔn tÊs eis tàkalà rhAithYmías mártyra
tòn en toîs akhrÉstois pónon parékhetai kath’autÊs.


愁訴 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 3日(日)12時41分54秒

おみつ、ひとつ頼みますよ、カラフルラムネバー。うちの近所では
OKというスーパーで得用箱入りを販売していると、掲示板を御覧に
なった、さる筋の方が教えて下さいましたが、おみつストアでも売っ
ていると安心です。よいこ(いいオッサン)は一日一本です。


カラフルラムネバー 投稿者:おみつ  投稿日: 8月 3日(日)12時29分41秒

こんにちは
カラフルラムネバーはまだみたことがないので、問屋さんに聞いてみます。食べたい!
入荷したらすぐに報告しますね(笑)
レーシックの情報 ありがとうございます! 今後の参考にさせていただきます。


後味が悪い 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 3日(日)12時17分28秒

頭が悪いので、(頭の)悪い文章を読むと、ひどく疲れる質である。
翻訳物をあまり読まないのもそのせいだし(上出来でも国語とは言
い難い仕上がりになってしまう)、論文を読み下りかねるのも、己
の怠惰というよりは、恐らくこの性質によるものに相違ないと、手
前勝手な理窟をでっち上げているのだが、まんざら根拠のない話で
もないような気がしてきた。

係り結びの壊れた文章、文法の破綻した文章、思考のシの字も感じ
られない文章を読んで、肩が凝り、気力を殺がれ、放心する状態を
久振りに味わってみてのことである。

「昔の人のすごいところは、なぜそらにとぶ技術もないのにもかか
わらず、そらえとんでいた」。

これは架空の文であるが、この手の文が脈絡もなく連なっている文
章を、ここ二日ほど読まされていた訳だ。そしてこの手の文章であ
ればあるほど、現代日本のディスクールが如実に表れることも、今
更ながらに知った。

高等学校の朝のホームルーム(というのか?)で、毎回挙手し、最
近自分は若王子支店長の安否が心配だと、意見を発表していた同級
生がいた。一度「時事に心を砕いて立派である」と褒められたせい
だろうと眺めていた時の心持ちが、「昔の人のすごいところは」式
の文章を読まされ、甦る。

……という具合に、「今更ながらに知った。……高等学校の朝のホー
ムルーム(というのか?)で」の間に横たわる飛躍が連なる文章群
を読まされていたのです。なお上で省いた脈絡は「安全に人の同意
を調達できる文言を口にする者は、往々にして思考を止めているの
であり、思考を止めた人間でも、輿論を支配するトポスを口にする
ものだ」であり、「その甚だ下らない例に至っては云々」というも
のである。もちろん、脳内に浮かんだ脈絡を全部書き記して、論理
学的に正しい、数学的で美しいと喜ぶ者の文章も病的である。その
手の病んだ文章は網上に満ち溢れているが、幸い今回の肉筆原稿に
紛れ込んではいなかった。


気味が悪い 投稿者:元夏迪  投稿日: 8月 3日(日)11時36分24秒

いっかな消滅せず不思議の念を催すものが、粉物を入れた袋の口に
仕込まれたジップロックである。利便を謳っているものの、利便の
欠片もなく、寧ろ不便極まりない。片栗粉の袋。あのきめ細かい粉
末が、一度袋の口を通れば、ジップロックの溝に紛れ込み、もうジッ
プもロックも出来なくなる。千里の堤も何とやら、二度、三度と繰
り返すうちに、溝は隅から隅まで粉まみれとなり、今度はそこから
周囲に粉を撒き散らす。なぜ、ジップロックをつけるのか。気味が
悪い。


おみつさん 投稿者:愚妻  投稿日: 8月 1日(金)09時53分9秒

ごぶさたしています。暑いですが、お変わりなくお過ごしですか?

目はその後も大変快適です。視界が広がったので、運転もとても楽です。皺だ
の白髪だの、見えなかった方が幸せだったものも見えてしまいますが…でも
それでも頭痛や肩こりが軽減されて大変宜しいです。0.1以下だと、本当に大
変でしょうね。レーシック、いいですよ!それから、手術なので生命保険が降
りることになりました。2000年にレーザー角膜術が認可される以前に加入し
た保険だと、降りる可能性が高いそうです。そういえば、9月30日が期限の2
万5千円オフチケットを渡されました。お使いになりますか(笑)?神奈川ク
リニックです。とはいえ、目のことなので、時間をかけて決めた方が良いよう
に思います。

停電、御愁傷様でした。お店はそういう心配もあるのですね。50分は相当に
長いですね。ケンブリッジではしょっちゅう長ーい停電があり、オール電化の
家が多くて停電中は本当に何もできないので、皆光を求めて通りで右往左往し
ていました。ところでおみつストアさんでは、カラフルラムネバーは売って
らっしゃいますか?


一筆箋/御歸り/御問合

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