一筆箋舊帙    一筆箋/御歸り/御問合

平成十三年六月六日第九十一号
平成十三年六月二十五日第百二十号

夜明け前 投稿者:へちを  投稿日:06月25日(月)18時11分22秒

元夏迪さん 999ヒットおめでとうございます

表題の件ですが,例によって父が持っていたものを読んだのが生意気盛りなお年頃(苦笑)でしたので,気負った反発だけが残ったような気がします(最後まで読んだかどうかも覚えていません).
何とも狭量な話ですが,特に引っかかったのは,主人公の価値観が余所から持ち込まれた物差にしか思えなかった点でした.もっとも,小説はフィクションだから事実に基づいた歴史の本の方が高級だ,という(かなりズレた)物差を持ちこんでいたのはこちらの方なのですが.
# まあ,『ジャズ大名』という大バカ映画の方が面白かったのも理由の一つです.

文学の方に話を振られると若気の至りばかりが思い返されますね.嘆息


掲示板九九九は不佞でしたが。 投稿者:元夏迪  投稿日:06月25日(月)06時54分14秒

本日二十四日、剣橋は晴れ、陽は天井を焼きました。

下の方で「薄暮の空気に漂う華やぎは西域を髣髴する」と書きまし
た。今日の暑威もまた、初めて彼の地に游んだ折を思わせるもので
した。風はなく、冷房もなく、どこにも逃げ場のない、モーッタリ
とした暑さ。新疆吐魯番(トルパン)の寝苦しい夜そのものです。

三階の窓から身を乗り出せば、国許マレーシアに引き取る友人の姿
がありました。再会は十月です。こうして黌内が徐々に静かになっ
ていきます。

長めの文章を書いていると、単調に赴き、平板に流れ、時には句法
に悩んで晦渋に陥ります。「忙しい時には漢文」ではありませんが、
他人様の毫端に学ぶことで、自身の行文も滑らかになるものです。
……と、勝手な料簡を掲げて、今日は半日、藤村『夜明け前』第一
部上に読み耽っておりました。

「青空文庫」を知って、真っ先に探したのが、この長編でした。生
憎その時には上網されておらず、漱石だの太宰だのを下載して溜飲
を下げたのですが、今回更新状況を眺めてみると、『夜明け前』第
一部下の上網が報じられてありました。幸い「上」も見付かって、
僥倖に舞い上がり、ついつい仕事の手を休めてしまいました。

十年前、高等学校時代の友人と、中仙道の端っこをうろうろしたこ
とがありました。零時二分新宿站発の中央本線普通列車に飛び乗っ
て、木曽の西、落合川站から馬籠(まごめ)、妻籠(つまご)、南
木曽(なぎそ)と、東山道六十九次のうち、二十五キロだけを踏ん
で帰京した小旅行でした。山上に小さく開けた馬籠の情景や、本陣
跡で目にした藤村の手稿が気に懸かり、後日大学生協で岩波文庫版
を買い求め、爾来十年、座右の書です。

旧幕時代から維新にかけての民情を、街道の駅長の目を通して眺め
た作品です。古文書を繙き、古老に聞き、自らの体験を織り込んで
描く筆遣いは簡勁で、丹念に積み重ねた細部の描写は、大上段に振
りかぶった維新論を圧倒する迫力があります。街道に立って、下か
ら時代の転回を仰視する。主人公の述懐です。藤村の語り口に誘わ
れ、読む者もまた、ともに幕末維新の空を見上げることが出来る佳
品ではないでしょうか。烏有亭主人さん、へちをさんの御感想をう
かがいたいところですね。

同じく細部に拘りつつも、徹底的に神の視線を貫くトゥーキューディ
デースのことを、ちらと思ってみたりするのは、仕事柄仕様のない
ところかも知れません。ぷちさんは、如何お考えでしょうか。

それにしても、こうした作品を手軽に愉しめるのは「青空文庫」の
御蔭です。有難いことです。


針鼠さんと愚妻さんとの間に「変な緊張感」(ぷちさん)が漂って
います。煽るわけではありませんが、面白いですねェ。


てっちゃんさん、お早うさんです。「こばわ」て管理人さんでした
か、メイルでは見たことがないような……。ひょっとして肉声?オ
フ会に行って確かめなくちゃ。でも、いつ行けるんだろう?ウーン。


「こばわ」はだ〜れだ 投稿者:てっちゃん  投稿日:06月24日(日)23時37分20秒

こんばんはでございます。

>段ですね。日本と当地は時差が八時間ですから、地球を三分の一周
>する計算になります。一周およそ四万キロ、三分の一周で一万三千
>キロ。「チャット」はその距離を超えた事になりますね。

八時間で一万三千キロですか?
む〜、すごいなぁ、考えてみると。
あとは時差の問題だけですね。
こればっかりは無理かな?(タイムマシンでも無いと)

>時に「こばわ」って、誰の真似でしょうか。不佞はつい、小宮悦子
>氏や国谷裕子氏といった、敏腕キャスターを連想したのですが。

なるほど!!そういう発想も出来るんですね。
で「こばわ」はML管理人の酒屋さんです。


センセーション 投稿者:愚妻  投稿日:06月24日(日)19時09分16秒

針鼠先生

「挑戦状は撤回」を真に受けた私が愚かでした。隙をつかれました。しかし拙稿をお読みいただいたようなので、この際大目に見てしまいたいと思います。サンキュウ。

『アイアース』の執筆年代については、これまで傍証の存在が知られなかったため、文体や形式などから大まかな推定をすることしか出来なかった(紀元前5世紀半ば前後)。針鼠氏の「19世紀後半ミュンヘン」説は、これまでの研究史を覆すセンセーショナルな議論となるだろう。唯一の問題は、その場合、19世紀前半以前の『アイアース』研究をいかに評価すべきかという点にある。

ぷち先生、針鼠先生

ところで麦ゼミは最近休講なのですか。

昨日マグロの切り身を買ってきて刺身にした、いところですがさすがにそれはせず、フライパンで照り焼きにしました。脂がのっていて美味しゅうございました。


嘉言謹呈 投稿者:針鼠  投稿日:06月23日(土)17時34分02秒

ぷち様。もしかして、僕が授業の後で遊びに誘ったから、塾の予習が早朝にずれこんでしまったのではないでしょうか。パパスに無理やりつれ込み、秋葉原まで歩き、あまつさえ駅構内のベッグコーヒーで1時間以上歓談にふけってしまったのですから。大変に恐縮です。

もとより研究者としては、私はつねに愚妻氏の前では一チャレンジャーだ。葬儀が共同体の規範を再強化するとともに、共同体の抱える矛盾をも露出させるという議論は、愚妻氏と私がともに扱ったものである。蓋し、弓の名手にして庶子のテウクロスと「ロシア・マルクス主義の父」にして祖国防衛派のプレハーノフの間に、本質的な違いはない。唯一の問題は、『アイアース』が19世紀も後半になって、ミュンヘンの歴史家の手で書かれた偽書だったという点にある。


んが。 投稿者:ぷち  投稿日:06月23日(土)05時56分30秒

愚妻さま、論文提出おめでとうございます。
お勉強なさっているようで何よりです。
私も見習いたいのですが・・・ううう。

元夏迪さま、すみません。夏休みまで全く暇がございません。
というか、夏休みも暇がございません。あふ。
あの職場のせいです。例年にもましてこき使われております。
夏休みはその職場に缶詰です。合計126コマ。確実に逝きそうです。
こんな時間に起きているのはその予習のためです。ああ。
ちなみに今年のあの職場は、あの2階の講師室が広くなりまして
我々のような講師と、元夏迪さんのような講師が同じ部屋に詰めてます。
双方がなんとなく居場所が決まっていて、変な緊張感が漂ってます。

追記: 針鼠さま
愚妻さんへの挑戦状は取り下げですか?残念ですねえ。
傍観者として対決をとても楽しみにしていたのですがねえ。


祭りをよそに呟きます 投稿者:元夏迪  投稿日:06月23日(土)02時08分31秒

昨日は后黌中庭の野外舞台でシェイクスピアの『リチャード三世』
を見て参りました。学生芝居ですが、見事なものでした。以前に現
代風『ジュリアス・シーザー』を見て、ちょっとこれは、と思って
いたところ、今回の芝居で沙翁もなかなか、と見直しました。ただ、
如何せん寒くって、冬の出で立ちで見物しながら、ガチガチと震え
て難儀しました。

本日廿二日金曜日、剣橋は晴れています。蕃屋前にはゴーカート場
が出現しました。寮棟出入り口も蕃屋側は封鎖され、狭い勝手口を
使わねばなりません。今夕十八時半より明朝六時半までの措置と通
達がありましたから、その期間に文化祭「水無月会」が執行される
のでしょう。

今年のテーマは「タブー」です。高等学校の学園祭を髣髴する陳腐
な御題に、思わず完爾たる笑みを浮かべます。不佞もまた、加齢故
の濃ゆさを身につけたのでしょうか、Zongtongさん。

自室から蕃屋側を眺めた景色は、「虹霓(平成十三年四月六日)」
に写り込んでいます。蕃屋のある建物には、赤い風船を飾っていま
す。


明智さん、御忙しいところを有難うございます。そうですか、最近
は書見をなさる御暇がないのですか。離日前に御話をした際には、
確か『資治通鑑』をお読みだったように記憶していますが(違いま
したっけ)、その明智先生が漢籍無しでは、随分と堪えることでしょ
うね。不佞のような横好きでも、かなりシンドイと思います。何故
か不佞は、明智先生と阿藤伯海先生とを重ね合わせていたのですが、
流石に退休、帰山した往年の漢詩人のような訳には参りませんね。
呉々も御自愛を。御地の風物なども御報せ下さいね。

モラトリアム人間の気楽さでしょうが、忙しくなると漢籍を繙きた
くなる質です。希臘古典を弄ぶ、いわば洋学に神経が磨り減るので
しょうか。アルバイト先の予備校で内職に学会報告の仕度などをし
ていて、どうにも煮詰まると、よく『文章軌範』を広げたものでし
た(なんというダラク教師……)。同僚から「あれ先生、漢文です
か」と言われる度に、自分は英語と漢文の教師で採用されたんです
ヨ、今はたまたま英語の仕事しかないけれども、一応漢文は零齣出
講しておるのです、などと説明したものです(確かに事実なんです
けど)。

希臘語弁論の鬼才イソクラテースの主だった作品と並び、韓文公の
名篇は、中央線とこの職場で読みました。英語科主任や、大検科主
任と机を並べて勤務した折にも、そんなエライ人がいるとは露知ら
ず、黙々と内職したりして。上司も面白がってくれたのか、馘にも
ならず、後日大任を与えてくれたりと、仲間に恵まれた職場でした
ね。最近はどうなっているんでしょう、ぷちさん。

針鼠さん、怖い書き込み有難う。スノッドグラスやホプキンズと面
識がおありでしたか。最近御両所とはお会いしていないので、宜し
く御伝え下さい。仲良く定年だったような気がするのですが、新し
い職場のことなどは、お聞きになりましたか。御存知でしたら御一
報を。

文四郎さん、日本語のオペレーティングの上でマイクロソフト製品
の英語版を走らせても、支障はないのですか。細かいところで色々
な衝突は出ないのかな……。不佞はとうの昔に「ワード」は見捨て
ました。エディター代わりにNisus6.0を使うことはありますが、ワー
プロそのものも使いません。専らPageMakerTeXで、こちらで仕
事をする際には、全くTeXばかりです。皆さん、どうなさっている
のでしょうか。


マック版ワード98 投稿者:文四郎  投稿日:06月21日(木)14時41分37秒

愚妻さん、論文提出おめでとう。
マック版ワード98(日本語版)は使えません。そもそもLaser Greek系のフォントで
正しくアクセントが表示できないものがあります。私は仕方なくマック版ワード5.1
(英語版)で論文を仕上げました。でも、英語版の98なら問題ないのでは?


おめでとう 投稿者:針鼠  投稿日:06月21日(木)03時38分22秒

愚妻さん、論文を書き終えることができて本当によかったね。僕、ちょっとならず興味をもってたぜ。この前スノッドグラスと電話で話したら、彼も「愚…妻の論…文はい…い」と言ってた。キースはどうせ真面目に答えんだろうから聞かなかった。あともう挑戦状は撤回する。「サンキュウ」には泣けた。元夏迪のことよろしくな。じゃね。


横レスに、雜感と蛇足など 投稿者:明智  投稿日:06月20日(水)17時07分10秒

一筆箋をのぞくのが偶さかで、予としては聊か心苦しいですが、
元御大には、「滞英日乘の上網を」との要望を御記憶に留めて頂き、恐縮してをります。
今次は、漢文につきて興をさそふ話柄がかはされた由、思はず書き込みしてしまひした。

くだんの、「非澹泊無以明志、非寧靜無以致遠」なる一文は、
三國志卷三十五 諸葛亮傳にみられる「誡子書」にも存し、諸葛丞相が、嫡男 諸葛瞻に
與へた、なかなか含蓄に富むこのフレーズは、かねてより、予の腦裏にも殘つて居ます。
後漢にあらはれた、所謂「名士」と稱される人人の胸の裡を見事に示してますね。

ここのところ、ゆるりと漢文を繙く遑も無く、それ故に、かかる文章がひときは
心に染み、土井晩翠の「星落秋風五丈原」などもあはせて想起されて、
これをきつかけに、しばし遠ざかる古典の世界にさまざまに考へが及びました。

なほ、へちをさんいはく、

また,同項には「非寧静無以致遠」[淮南子,主述訓]とありますが,こちらに「澹泊」云々
の文言が附属するかどうかは(手許に『淮南子』がないので)不明です.

との御指摘ですが、『淮南子』にも「澹泊」云云の記載が有ります。
但し、こちらは、「‥‥非澹泊無以明コ,非寧静無以致遠」となり、
「明志」と「明コ」のちがひが看取されます。
いづれにせよ、典據としては、『淮南子』のはうが古いやうです。
因みに、出典をくはしくいふと、『淮南子』内篇二十一卷の中の、
「主述」ではなくして、「主術(訓)」となりませうか。

縷縷つらねましたが、久方ぶりに漢籍の氣にふれられたことに感謝致します。

末尾に、夕霞堂先生、例の諸橋大漢和ですが、昔はともかくとして、
海賊版と雖も、毛澤東はまだしも、せめて周恩來は收録してもらひたいですね。


年度末 投稿者:愚妻  投稿日:06月20日(水)16時58分45秒

誰も御興味がないとは思いますが、ケンブリッジでは年度が終了し、先日M.Phil. dissertation と称してへぼ論文を提出しました。口頭試問を終えれば無事夏休みです。で、久しぶりに街へ出て判明したことは、年度末で学生が浮かれまくっていることです。街中が酒臭く、不思議なコスチュームを身につけた人々が徘徊していました。お薬もたくさん出回っているのでしょう。地元の人にはさぞ迷惑だろうなあと同情します。

ところで今回一番学んだのは、「マック版ワード98(日本語版)は使えない」ということです。提出直前の頃には書式が徹底的に壊れ、脚注が全て第一ページに付く、指定したフォントが全て変わる、だからギリシア語もローマ字に変わる、本文の字が黄色くなる、など大変嫌な思いをいたしました。結局全て修正することが出来ず(原因が分からなかった)、元夏迪さんにページメーカーで作ってもらいました。この場をお借りして御礼申し上げます。サンキュウ。

で、みなさんにお尋ねしたいのですが、マックで使い勝手のいいワープロ御存知ありませんか。学部のマックに入っているのがなぜかワードのみだったので(英語版だと問題が少ないのでしょうか)、仕方なくワードを使っていましたが、もう堪忍袋の緒が切れました。今の候補はNISUSなのですが・・・。お知恵を拝借できれば幸いです。


横レスに横レス 投稿者:Zongtong  投稿日:06月19日(火)03時32分41秒

各位の博識に見とれるばかりです。
自分には到底及ばぬ境地と存じますが、一歩でも近づ
くべくあい努めたく存じます。努めれば努めるほど空
回りして濃ゆくなってしまうのでしょうが。


「横レス」大歓迎です 投稿者:元夏迪  投稿日:06月18日(月)07時09分43秒

へちをさん、御教示有難うございます。諸葛亮か劉安ですか。オマ
ケに「横レス」の意味が漸く判りましたよ。どんな話題でも「横レ
ス」大歓迎です。皆さんもどしどし「横レス」を(笑)。

御陰様で戴いた書の全文を想い出しました。「澹泊明志寧静致遠」
です。王木即氏は多分諸葛亮に想を得て、これを縮めたか、或いは
この形で人口に膾炙しているのを、そのまま揮毫して下さったので
しょう。王氏は勿論、王氏に揮毫を頼んで呉れた知人も、共に蜀の
人なので、劉安ではなく、郷土の偉人の名文を引いたのではないか
と思います。


いやー、それしても迂闊でした。手許の漢和辞典を覗いたら、諸葛
亮「戒子書」のこの件が載っていて「ふうん」と思ったのでした。
ところが「澹」と「致」とを別々に引いて、「非澹泊無以明志」と
「非寧静無以致遠」が引用されてはいたのですが、一続きのものだ
とは、ついぞ思い至りませんでした。やはり諸橋大漢和は用例にき
ちんと紙幅を割くものですね。

不佞は『漢語大詞典』を愛用していて、諸橋大漢和とは疎遠なので
すが、やはり気になる辞典ですね。そのうち入手したいものです。
でも、その前に置き場ですね。『漢語大詞典』はもちろん、漢籍の
大半は実家で書架の肥やしとなっていますから……(所帯を構える
際に持って出たのは上海商務印書館刊『辞源』合冊本、いま手許に
あるのはもっと小さい漢和中辞典です)。


時にへちをさん。御手許の諸橋に「毛沢東」の説明は載っています
か(笑)。……ちょっと濃ゆい話になってきました。もう一度、蜀
漢武侯の言。「非澹泊無以明志非寧静無以致遠」(←ゴロク風)。


Re: 少年既老學未成 投稿者:へちを  投稿日:06月18日(月)02時07分50秒

横レスですが.

諸橋『大漢和辞典』の寧静の項には,
「非澹泊無以明志、非寧静無以致遠」[諸葛亮,戒子書]の用例が見えます.
また,同項には「非寧静無以致遠」[淮南子,主述訓]とありますが,こちらに「澹泊」云々の文言が附属するかどうかは(手許に『淮南子』がないので)不明です.


少年既老學未成 投稿者:元夏迪  投稿日:06月17日(日)03時39分53秒

Zongtongさん、朱熹偶成と言うことは「少年易老學難成云々」でしょ
うか。套語に堕した嫌いはありますが、我が身を省みるに、これ程
重たい言葉はありません。

儒家の「學」は学術研究とは自ずから意味合いが異なりますね。論
語季氏第十六には「不學詩、無以言」「不學禮、無以立」という有
名な庭訓の件が見えています。烈々たるものを感じます。

ですが、人格的な色彩を除外して、所謂「学問」に話を限っても、
馬齢を重ねるだけの我が身に、やはり立つ瀬は見当たらず、大儒の
言に頭を垂れる他はありません。いや、よい言葉を想い出させて戴
きました。……違ったりして(笑)。

その朱子の著作から。「物有本末、事有終始。知所先後則近道矣。
……(中略)……其本亂而末治者、否矣。其所厚者薄而其所薄者厚、
未之有也」(大學首章)。不佞の「學成リ難」きは、本末を誤って
いるせいなのでしょか(苦笑)。


不佞も以前、友人から王木即なる書法家の書を頂戴した事がありま
す。「元君夏迪雅賞」と添え書きされているので、知人が態々王氏
に頼んで揮毫して貰ったもののようです。うろ覚えですが「澹泊○
○寧静致遠」とありました。 「濃ゆく生きるのも考えもんだよ」。
名言だなぁ。

Zongtongさんはこの句の典拠を御存知でしょうか。浅陋の身には見
当も付きません……。王氏がどのような方なのかは、勿論皆目存じ
ません。残念なことです。


箴言 投稿者:Zongtong  投稿日:06月17日(日)01時36分11秒

>毓老はなんとお書きですか。不佞もその箴言に学びたい
>と存じます。

朱熹の偶成です。そのまんまといえばそのまんまですが、
そのまんまをそのまんまに受け入れ、自戒いたしたく存
じております。

>青椒肉絲が辛くて、というのは、薄ぼんやりとしか思
>い出せません。

ゴルムドではなく、ラサであったような気もします。


驟雨の通り過ぎた剣橋から 投稿者:元夏迪  投稿日:06月16日(土)22時55分42秒

このところ写真の更新が滞っているとお感じなったかも知れません
ね。上網原稿は出来ているのですが、間借りさせて戴いている「ラ
イコス」のディレクトリに空きが少なくなってきており、対策を練っ
ています。仕事の合間に思い出す程度ですので、なかなか具体的な
動きに繋がらず、更新が遅れる結果となっています。


イースター学期も終わり、残るは学園祭「皐月会(メイ・ボール)」
です。六月下旬に「皐月会」とは不可思議ですが、元は五月だった
のでしょう。不佞どもの起居する狼子黌は歴史も浅く、その「元」
がないために「水無月会(ジューン・イベント)」と称しています。
当地なりの俳味が漂う工夫です。

少しでも増収を狙ってか、いつまでも繰り延べにしてきた「水無月
会」門票の販売期間も、そろそろ締め切り、「皐月会どつき舟(バ
ンプス)」は本日十六日が最終日です。雷鳴轟く驟雨の中、知人が
艇長を務める船は、先ほど解纜、出航した筈ですが、戦果は未だ報
じられて来ません。

当黌は大学院生専用黌の看板を掲げ、学部生は殆どおりませんが、
黌内の雰囲気がソワソワし始めました。年齢に関係なく、皆「水無
月会」を心待ちにしているようです。昨夜は仕事で四時まで机に向
かいました。零時前にはどこかで花火が打ち上げられ、向かいの部
屋には数名の来客があり、随分と遅くまで大騒ぎでした。朝の六時
には廊下で携帯電話の通話を愉しむ声に、愚妻さんが目を醒ました
とか。ウッキウキ(死語?)、とはこの事でしょう。

当日は黌内三カ所で大音量の音曲が夜通し流れ、門衛の詰める番屋
前にはゴーカート場が出現し、爆音を響かせるようです。大の大人
がゴーカートに興じる様は一見の価値がありそうですが、愚妻さん
の口頭試問(バイバ。ラテン語のウィーウァー・ウォーケ、「肉声
で」から)を控える不佞どもは「水無月会」には出る予定はなく、
ひたすら騒音に堪える祭になりそうです。

十八日月曜日には耶蘇黌の「皐月会」、三位一体黌の打ち上げ花火
があるそうで、二十二時四十五分の花火の開始に合わせて、知人が
船を出してくれることになりました。ケム川の水面に浮かび、少時
絶域の花火を眺めてきたいと思います。


雨が上がりました。空は一面の雲ですが、どうやら明るくなりまし
た。そろそろ仕事に戻ります。


夕方は珍しく雷鳴が 投稿者:元夏迪  投稿日:06月16日(土)04時38分06秒

烏有亭主人さん、「すんませんよ」は伊都橋本方言です。余所の地
域ではどう言うのでしょうね。烏有亭主人さんがお住まいの地域で
は如何ですか。

紀州は海沿い、谷筋、川筋でそれぞれ微妙に言葉が違っているよう
な気がします。同じ紀ノ川筋でも東西で差があるでしょうし……。
面白いですね。

武州生まれの武州育ちではありますが、やはり紀州の言葉を耳にす
ると、気持ちのほぐれる思いがします。上野駅で東北訛を聞いた古
人の気持ちがよく判ります。紀州弁の聞ける場所が武州にないのは
実に残念。紀尾井町なんて、殺風景そのもので……。時代錯誤です
ね。

IRC、ちょっと覗いてきました。UNIXの上で開発されたものなんで
すね。まともに使いこなせないのに、なぜかUNIX好きの不佞は、ク
ラクラっと来ましたが、書類をあれこれ読まねば行けないようなの
で、論文が手を放れるまでは導入を見送ることに致します。

文系マッキントッシュでTeXを使うのも、昔いじったMuleTeXの組
み合わせが心地よかったからかも知れません。


ぷちさん、

scripsisti> 大学に入っているっす。
scripsisti>
scripsisti> 入っているんですよ。
scripsisti> はい、入っているんです。既に・・・。

古典文法の活用を暗唱していた時分を思い出します。『太陽の帝国』
(またもやハリウッド映画)にも似たような情景がありましたよ。

上海で日本軍の捕虜収容所に入れられたイギリス人のお坊ちゃんが、
同胞の青年医師からラテン語の文法と、英語の詩文を習うところで、

 amabo, amabis, amabit, ..., amabuntur

などとやっていました。

「不佞は愛するでしょう、あなたは愛するでしょう、……彼らは愛
されるでしょう」。戦時下にあって愛は未来からやってくるものの
ようです(未来形ではなかったかも知れません。何せ英語式の発音
だったもので……)。

「世界有数」と豪語するだけあって、古典学部の蔵書は膨大なもの
です。何故か岩波書店の『アリストテレス全集』が配架されていた
りもします(訳者の御一人が寄付した由)。ところが英語圏外の著
作は時々漏れている。五、四世紀の弁論家アンドキデースの註釈書
で最新の物はイタリア語で綴られていますが、これもありません。
使おうと思って探したら、大英図書館に一冊ありましたが、ブリテ
ン島でこれだけだとは、少々お寒い感じがします。

今回御報せしたヴェリヤニ女史の著作もその例で、誰かが必要に迫
られて係にせっついたのでしょう。出版後四年目にして漸く配架と
相成りました。頼めば大概は買ってくれるようで、そのあたりは流
石です(収奪のシステムの賜ですね)。不佞も件の注釈書を頼んで
みようかと思います。邦語文献などは……ムリでしょうかね(笑)。

scripsisti> え?読んだかって?
scripsisti>
scripsisti>
scripsisti> ・・・・・・がんばります。

……はい。不佞も頑張らねば。


ああ、この本・・・ 投稿者:ぷち  投稿日:06月14日(木)22時46分34秒

大学に入っているっす。

入っているんですよ。
はい、入っているんです。既に・・・。


え?読んだかって?


・・・・・・がんばります。


irc 投稿者:烏有亭主人  投稿日:06月14日(木)19時41分17秒

お元気そうですね。

> 「チャット」では愛想もなしで、すんませんよ。

この`すんませんよ'は伊都橋本方面の方言なのでしょうか?
というのは、先日紀見西方面の知人がこの`すんませんよ'を言ってるのを聞いたもので。

#ぼくはもっぱら IRC(Internet Relay Chat) を常用しております。


今日も夕暮れ時は良い天気 投稿者:元夏迪  投稿日:06月14日(木)04時02分46秒

ぷちさん、あいかわらず御忙しいですね。こんなところで何ですが、

 Veligianni-Terzi, Chryssoula,
 Wertbegriffe in den attischen Ehrendekreten der klassischen Zeit.
 Stuttgart: F. Steiner, 1997.

とか何とかいう書籍は御存知でしょうか。刊年を見るに、既にお読
みだとは思うのですが……。今日学部の新着図書の棚にあったもの
ですから。

指導教官様が、このような学術的な掲示板「一筆箋」を御覧になっ
て、何の不都合がありましょう(笑)。具合が悪い点があるとすれ
ば不都合があるとすれば、書き込んで下さる時間だけですね。呵々。


針鼠さん、あいかわらず筆が冴えますね。飄逸ですね。倫敦に行く
用事はありません。食指も動きません。盗品博物館にはまた行く心
積もりはしていますがね。

針鼠さんとは日本国内で一万キロ以上、各駅停車の旅をしましたが、
最近はとんと御無沙汰です。不佞もそろそろ退屈を覚えています。
どうです、ひとつブハラあたりで待ち合わせをしませんか。それが
無理なら……、本郷のパパスですか。


Zongtongさん、あいかわらずですね。態々お呼び立てしたようで済
みません。毓老はなんとお書きですか。不佞もその箴言に学びたい
と存じます。いつぞや御手紙を下さった際には「春秋に富む身の上
なンだから、しっかりやんなさいよ」と言った事をお書きでしたが
……。

ゴルムド市の街外れで朝から麻婆豆腐を食べたのは間違いありませ
ん。ところが青椒肉絲が辛くて、というのは、薄ぼんやりとしか思
い出せません。お互い惜しげもなく脳細胞を壊してきたせいなので
しょうか……。帰朝したら、控えを調べてみることにします。

八月に昆明ですか。暑そうですね。「立ちつくす」とお書きです。
よく判ります。不佞にも「立ちつくす」場所がたくさんできたよう
に思います。御一緒した中国各地は勿論です。


てっちゃんさん、ようおこし。「チャット」では愛想もなしで、す
んませんよ。反応伝達速度が遅いので、お互いに会話がチグハグに
なるのが難しいですね。それが思わぬ展開を生み、面白いと思いま
したよ。

接続中は紀ノ川筋のあそこでは暑い、ここでは少し涼しい、といっ
た、ちょっとした会話で、夜の紀州を肌で感じたように思いました。
てっちゃんさんの仰るとおり、一気に距離を約めてくれる恰好の手
段ですね。日本と当地は時差が八時間ですから、地球を三分の一周
する計算になります。一周およそ四万キロ、三分の一周で一万三千
キロ。「チャット」はその距離を超えた事になりますね。

後は時間を超えるだけ。流石に八時間ずれていると、日本の夜がこ
ちらの仕事中になってしまい、なかなか……。でも、また忍び込み
ますので、待っていて下さい!

時に「こばわ」って、誰の真似でしょうか。不佞はつい、小宮悦子
氏や国谷裕子氏といった、敏腕キャスターを連想したのですが。


長くなりました。ではへちをさん、御機嫌よう。


『真珠湾』 投稿者:元夏迪  投稿日:06月14日(木)04時00分15秒

六日木曜日にディズニーの近作『真珠湾』を見ました。以下は知人
宛のメイルです。文中「ワーナー」とあるのは「ディズニー」の譌
です。上映した小屋の名「ワーナー・ブロス」が頭に残っていて、
混同したのだと思います。
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元夏迪復啓。

眞珠灣竒襲攻撃を觀戰して參りました。湯水の如く金を注ぎ込み、
溢れんばかりの技術を投入して成つた娯樂大作『眞珠灣』は豪宕無
比、淺薄絶世と評すべく、浪漫ポルノは一瞥慚赧に堪へざりき。宜
なりやワァナァ、斯界の雄印度映畫を脅かし、竊かにその位を覦む
こと。圓木警枕の徒、之を翫べば必ずや平生の鏤骨を離れ、以て其
の神を休ましめん。是れ不佞の之を諸卿に推重する所以なり。

と、文體がをかしくなりましたが、要は『トップ癌』と『金日成の
赤いパレード』とを足して二で割つた映畫だと云へるでせう。アメ
リカは正しかつた、と總括する最後の部分が『金パレ』的です。同
じ主張をするにしても、十七年前の三時間退屈映畫『東京裁判』の
方が遙かに上品でした。『眞珠灣』は二時間半のツーカイ映畫で、
頭をカラッポに出來ますが、頭のカラッポな人々(子供)がこれを
見ると恐ろしい氣が致します。

オトナの映畫、といふ事ですね、不佞の總括は。○本○一大人の高
評に俟ちたいと存じます。

  機會があればもう一度見たい米帝の走狗 元夏迪拜。

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迫力を狙うあまりにカメラワークは不自然で、単調に流れる嫌いも
あり、画面には緊迫感よりは躍動感が漂っていました。

計算機画像処理を多用するのもウリの一つと見受けました。実に自
然に組み込まれていて、見逃しかけましたが、如何せん物体の運動
がディズニー映画(ハリウッド映画一般?)です。実写とは明らか
に異なるので、それと気付いた次第です。予告編で流れた『ジュラ
紀公園続編』や、昔見た『未来遡行正・続・続々』の白々しさを想
起しました。

主役をはる男優は故川谷拓三氏によく似ており、川谷氏を贔屓にし
ていた不佞は懐かしさに浸ることが出来ましたが、これは明らかに
制作側の意図とずれていて、配役係に悪いなあ、と(笑)。

日本では一部削除の上、小屋に掛かると聞きました。漏れ聞くとこ
ろに拠ると「なぜあれを削るのか」という箇所ばかりです。検閲主
体はどこなのか、御存知の方は御教え下さい。


いかがお過ごしですか? 投稿者:てっちゃん  投稿日:06月12日(火)23時20分08秒

こばわ(だれかさんの真似・・・)

マシンの復旧も終わられたと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
先日の「ちゃっと」は大変失礼致しました。
もっと、色々お聞きしたかったのですが、
やはりキーボード相手では、なかなか思うようにいかないものです。

でも、遠く離れた剣橋なのに、「ちゃっと」をしている時は、
元さんが、まるで隣にいるような気がするのは私だけでしょうか?
時間がありましたら、またおいで下さい。お待ちしております(笑)


近況 投稿者:Zongtong  投稿日:06月10日(日)02時52分30秒

消息につき板上で特にお問い合わせを受け、まかりこし
ました。ときおり拝見しております。
先日謨磐堂氏においでいただき、ケ主席肖像などを頂戴
いたしました。つつしんでかざらせていただいておりま
す。その昔毓老からいただいた書を表装中で、そのうち
掲げて日々眺め、以て自戒とするつもりです。
ゴルムドの麻婆豆腐のこと、ここ数年脳細胞の崩壊が激
しくすすんだせいか、記憶にないのです。覚えているの
は、ゴルムドではなかったかもしれませんが、青椒肉糸
を頼んだら辛くて食べられなかったことです。
何かはるかにとおくなつかしい気がいたします。8月に
昆明にゆかねばならないのですが、気がついたら麗江あ
たりに立ちつくしているかもしれません。


挑戦を受けて 投稿者:愚妻  投稿日:06月10日(日)00時42分28秒

針鼠さん、挑戦状を戴き恐縮しております。ご丁寧に有り難うございました。で、どうすればいいでしょう、私。


パパスの秘密 投稿者:針鼠  投稿日:06月09日(土)23時42分37秒

イーリー便りとか読んでいるうちに、僕も旅がしたくなってきました。元夏迪君はロンドンは行かないの?三越とかさ。あとソーホーはいいよ。ゲーセンが沢山あって。中国語の漫画も売ってるよ。昔僕は映画と何の関係もない漫画『酔拳』を買った。毒壷にひたした手で殺人拳を放つ敵が出てくるのだ。BTW(ところで:弟に教えてもらったアメリカ語。この辺愚妻さんへの挑戦状)I would love to tell you that カレー専科パパスの店長はあのおじさんで三代目なんだって。何とあのカレー、1933年に遡る味で、初代店主はおばさんの叔父。二代目が現在の店名とメニューを決め、それをこだわりの男である三代目が受け継いだんだって。夕方他に客がいないとき話し込んでたら、そう教えてもらった。


あああ、やっぱまだ書いてない 投稿者:ぷち  投稿日:06月09日(土)13時16分37秒

予想できたことですが、やっぱりメール書いてませんね。
いま(土曜の午後)も某予備校の予習で忙しいです。
でもなんとか書きたいです。ここんところいろいろあったから。

で、ひとつだけ。
昨日古代史の会があったのですが
そのあとの飲み会で、我らが敬愛すべき指導教官さまが
「元夏迪さんのHPって御覧になったことあります?」とのこと。
嘘をつくわけにもいきませんので「はあ」と答えると
「アドレス教えていただけます?」だそうです。どきどき。

その場は何とか取り繕いましたが・・・ここを知られたら
日本にいる我々の身の破滅につながるかも。


麻婆豆腐を想う 投稿者:元夏迪  投稿日:06月07日(木)20時07分39秒

最近独りで板を埋めていますが「在剣日乗を」との声を戴いた事も
あり、めげずに埋める事に致します(笑)。

謨磐堂さん、今日は。写真を御愉しみ戴けたようで。

scripsisti> 透明な感じの空は、何やら緯度の高い北海道やモンゴル
scripsisti> のそれを思い出させるような気がします。

あれれー、一月に御越し下さった時には、うねる平原に雲の低く垂
れ込めた沈鬱な光景を目の当たりになさって「うおおおお、蒙蔵の
ような不毛の美」と賛嘆していませんでしたっけ……。そうか、賛
美の対象は皆「蒙蔵」(笑)。

scripsisti> 本当に中国大陸の四川料理屋で食べるようなスパイシイ
scripsisti> な味で、河西回廊の砂漠の街にて一日ヘロヘロに歩き疲
scripsisti> れたあと、ビールを片手に麻婆豆腐をパクついたときの
scripsisti> ことを思い出しましたです。

麦酒ですか。西部麦酒は生ゴミ風の香りが印象的でしたが(笑)。
不佞は青海省ゴルムド市の街外れにある一膳飯屋で、朝からいきな
り「麻辣豆腐」と注文して、店主や客に驚かれた経験があります。
そこで食した麻婆豆腐が大陸一番でした。新疆中心に動いたせいか、
「えー、ここまできて麻婆豆腐ですかい」という尻込みもあって、
あまり食べませんでしたね。陳麻婆豆腐店はそこよりも上。

その一膳飯屋に一緒に行ったのがZongtongさん。最近姿を見ません
が、どこで何をしていらっしゃるのか……。

scripsisti> 「御飯おかわり自由」と書いてあっても、実際にはちょ
scripsisti> こっとしかくれないし……。(でも腹一杯)

不佞は五杯食べました。

西域に行きたいですね。ソ連領中央アジアにも足を伸ばしたいな。
これから先、そんな贅沢は許されないのでしょうね、謨磐堂先生。

論文を書きながら、気分転換に謝君直篇『文章軌範』をパラパラめ
くっている昨今、絶妙なタイミングで目にした「河西回廊の砂漠の
街」の文句に、漂泊の思いが鎌首を擡げ、愚妻さんの宝物「せんね
ん灸・いぶき」を三里に据えて……仕事に戻りますか(笑)。


司教座イーリー 投稿者:元夏迪  投稿日:06月07日(木)08時58分42秒

五日は、友人の出して呉れた車に揺られ、郊外の小邑イーリーに游
びました。これが二度目の訪問です。

うねる平原の微かな高みに、十一世紀創建の寺院が聳え、剣橋一帯
の耶蘇教区を管轄する司教座が置かれています。十一世紀と言えば
ノルマン人がブリテン島に侵略、これを征服した時代です。島内で
は古い施設です。

初めて訪れたのは昨年末、十二月三十日でした。手許の控えにはこ
う記しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「晝近くに起床すると、色の淡い青空の南方地平線のすぐ上に、ぼ
んやりと陽が懸かつてゐる。

「十四時半出発、イーリィ観光。眼鏡割る。道すがら芝枯れの平野。
異樣に伸びる長い影。甚だ寒い。大聖堂。結婚式。ホゥリィ・ゴゥ
ストなる語法あり。床の墓。十七時三日月金星皓々。南方水平線菫
色に暮れ殘る」。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上着の隠しに忍ばせた眼鏡を車の扉に夾んで壊し、偶然行き会わせ
た結婚式の様子や、薄暗く巨大な堂内の空間なども、あまりきちん
と見られませんでした。その後、薬店「ブゥツ」で新調した同舗謹
製の眼鏡(日本製)を携えて、今回は颯爽と物見遊山、と相成りま
した。

流石に冬至直後の先回とは違い、夏至を控えた今回は、十六時半に
着いてもまだまだ明るく、晩祷見物まで、境内裏手の茶店が屋外に
設えた席で一服するゆとりもあり、改めて季節の移ろいを実感しま
した。

晩祷自体は歌も下手で、部外者の不佞にはあまり面白いものではあ
りませんでしたが、老幼混成合唱隊が皆、如何にもアングロサクソ
ン、という面々だったのは面白く眺めました。総選挙を控えている
せいか、当選者が旦那様の意向に沿いますように、という文句が祈
祷に聞こえて、ちょっとした驚きでした。

「迷信に囚われ誤った神々を崇める異教徒の折伏に邁進する我らが
朋輩にお力添えを」などととやり始めた頃には苦笑、苦笑で。部外
者が皆、苦笑で済ませてくれるよう願わずにはいられませんでした
(苦笑)。

良くも悪くも旧慣墨守で、よその地方もこんな調子なのでしょうか
ね。それでもイーリーは観光地ですから、まだ開放的なのかもしれ
ません。

イーリーは叛徒クロムウェルも一時暮らしたことのある土地だそう
で、縁の家が蝋人形館を営んでいますが、生憎と耶蘇教会以上に関
心がなく、同行諸氏も気に留める様子のないままに、帰剣の途に就
きました。


陳健一麻婆豆腐 投稿者:謨磐堂 (Bobaan)  投稿日:06月06日(水)21時04分46秒

 五月二十四日上網の剣橋初夏点景を拝見致しました。いやはや、沈鬱な冬空がうそのような晴天でありますね……。透明な感じの空は、何やら緯度の高い北海道やモンゴルのそれを思い出させるような気がします。それゆえ剣橋の紫外線が強く感じられるというのも、これまた道理というものでせう。

 さて、今日はこの「一筆箋」オープン一番乗りをされたZongtongさんを訪ねて国立へ行って参りましたが、そのついでに立川で寄り道して、かねてから愚妻さんご推薦の「陳健一麻婆豆腐店」に特攻して参りました。午後2時ということもあり、全く並ばずにありつくことが出来ましたが、いかんせん麻婆豆腐と御飯だけなので、もし混んでいても音速級の回転となるのも道理かなと感心致しました。お味の方は、本当に中国大陸の四川料理屋で食べるようなスパイシイな味で、河西回廊の砂漠の街にて一日ヘロヘロに歩き疲れたあと、ビールを片手に麻婆豆腐をパクついたときのことを思い出しましたです。ただ、高いね……。「御飯おかわり自由」と書いてあっても、実際にはちょこっとしかくれないし……。(でも腹一杯)


一筆箋/御歸り/御問合

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